2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24252011
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩崎 正吾 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30203368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 耕司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60219269)
佐藤 千津 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20271356)
玉井 康之 北海道教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60227262)
斉藤 泰雄 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (30132690)
牛渡 淳 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (30151856)
桑原 清 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00178154)
山崎 直也 国際教養大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10404857)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 先住民族 / 教育権保障 / 国際比較 / 多文化・多民族共生教育 / 生涯学習機会 |
Research Abstract |
当該年度は、担当調査班別の各国・地域現地調査、海外共同研究者との共同報告、学会での研究発表及び定例研究会での検討会を実施し、以下の成果をあげた。 1.先住民族の教育権保障に関する以下の各国・地域の現地調査を実施した。①サハ(ヤクーチア)共和国調査:2012年6月8日~6月16日、岩﨑正吾、桑原清、②ニュージランド調査:2012年8月27日~9月2日、大庭由子、③オーストラリア調査:2012年8月18日~8月28日、前田耕司、④メキシコ・コスタリカ調査:2013年2月6日~2月25日、米村明夫、コスタリカ調査:2013年2月23日~3月4日、斉藤泰雄、⑤北米(アラスカ)調査:2012年2月22日~3月4日、玉井康之、牛渡淳、田中真奈美、牛渡亮、⑥台湾調査:2013年3月5日~3月11日、山崎直也、若園雄志郎、 ⑦イギリス調査:2013年月25日~3月31日、佐藤千津、⑧モスクワ調査:2013年3月5日~3月9日、岩崎正吾。 2.オーストラリアから2人の先住民族研究者(シドニー大学のアンソニー・ウエルチ教授、西オーストラリア州教育省付属教育研究所のパトリシア・ケーニヒスバーグ上席研究員)を招聘し、先住民族問題について意見交換を行い、日本国際教育学会第23回大会の課題研究(9月29日)において、岩﨑研究代表、前田研究分担者とともに共同研究報告を行った。 3.日本国際教育学会の個別分科会において、研究分担者の桑原と連携研究者の大庭の二人がそれぞれ研究発表を行った。 4.研究代表者の所属する早稲田大学教育・総合科学学術院の西早稲田キャンパスにおいて、全体研究会として、第1回研究会(2012年5月19日)、第2回研究会(2012年10月27日)、第3回研究会(2013年3月23日)の3回の研究会を開催したほか、各調査判別の打合会と個別研究会をそれぞれの大学において複数回開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、先住民族がその尊厳とアイデンティティを保ちながら差別・抑圧されずに生きられる多文化共生社会を築くための最も重要な条件の1つが教育権保障であるとする問題関心に立ちつつ、各国・地域における先住民族教育政策の展開とその実情を明らかにすることを目的としている。この目的を達成するため、第1年目は、「各国・地域の先住民族教育政策の展開とその動向の比較分析」、「国家語・公用語と先住民族言語との関係及びマスメディアや公共空間における言語使用等の調査」及び「先住民族学校や民族クラスなど教育システムの解明」を中心とした調査を行った。その結果、当初の計画通り、6地域(シベリア極東地域、オセアニア地域、中南米地域、北米・アラスカ地域、中国・台湾地域、イギリス)の先住民族の教育権保障に関する調査をすべて行うことができ、各国地域における状況の相違と特色がある程度見えてきたことは、大きな成果であるといえる。 また、外国(オーストラリア)から、2人の専門家を招聘して、日本国際教育学会の課題研究で日本側研究者との共同報告を行った結果、オーストラリアと日本の教育権保障をめぐる状況が明らかになってきたのも成果の一つである。さらに、この課題研究からは、その他の地域・国の先住民族調査を行う上での比較分析の視点がいっそう明確になった。 しかしながら、調査時期が、一部の地域・国(メキシコ・コスタリカ、北米・アラスカ、中国・台湾、イギリス)で、研究分担者の事情により、2月~3月に行わざるを得ず、今年度の中間報告書には反映させることができなかったことは反省点である。これらの成果は、今後の研究会で詳細に分析・検討して、認識を共有するとともに、来年度の中間報告書に掲載することにした。 来年度は、以上の反省を踏まえて、調査計画をしっかり立て、より成果が上がるように準備したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
教育権保障に関する各国・地域の比較分析の枠組みとして、本研究では以下の6項目を取り上げている。即ち、(1)各国・地域の先住民族教育政策の展開とその動向の調査、(2)国際援助機関・NGO(NPO)との連携やローカル・コミュニティ組織(活動主体)の教育権獲得活動の調査、(3)国家語・公用語と先住民族言語との関係及びマスメディアや公共空間における言語使用等の実態調査、(4)先住民族学校や民族クラスなど教育システムの解明、(5)先住民族の子ども・成人の生涯学習機会の調査、(6)家庭における言語・教育環境や家庭での先住民族言語の使用状況調査、である。このうち、第2年目は、(2)(5)(6)の課題を中心とした調査を行うことを予定している。また、同時に(1)と(3)と(4)の課題に関して、まだ詰め切れていない問題や残された課題の調査・分析を行う。具体的には、以下の地域・国に関して、実態調査を中心とする研究を推進する。 ◇[イギリス(スコットランド)調査]担当:佐藤千津、他1名。◇オセアニア(オーストラリア・ニュージランド)調査]担当:前田耕司、他2名。◇[北米(アラスカ、カリフォルニア)調査]担当:玉井康之、他2名。◇[中米(コスタリカ)調査]担当:斉藤泰雄、他1名。◇[中国(台湾)調査]担当:山崎直哉、他1名。◇[ロシア(クラスノヤルスク地方)調査]担当:岩崎正吾、他1名。 9月28日~29日に、サハ共和国とオーストラリアから各1名の先住民族研究者を招聘し、昨年度の成果を踏まえて、日本国際教育学会で日本の研究者との共同課題研究を実施する。 これらの成果をまとめて、昨年と同様に中間報告書を作成し、最終年度の成果(研究書の刊行)に向けて準備する。
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Research Products
(15 results)