2012 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア林冠部植物多様性と地理的生態的な群集分化解明のための広域インベントリー
Project/Area Number |
24255007
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神崎 護 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70183291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英治 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (10128431)
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10176844)
原 正利 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員 (20250144)
北山 兼弘 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20324684)
酒井 章子 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30361306)
田中 伸幸 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (40393433)
秋山 弘之 兵庫県立大学, 付置研究所, 准教授 (70211696)
矢原 徹一 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90158048)
永益 英敏 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90218024)
井鷺 裕司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50325130)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱帯林 / 着生植物 / 多様性 / 国際研究者交流 / タイ / カンボジア / インドネシア / メタゲノム解析 |
Research Abstract |
1,高所作業チームによる林冠部への直接アプローチ調査は,タイのモンスーン熱帯低地林調査区と山地林調査区の2ヶ所での作業を先行させて,効率よく調査を実施した.これらの調査区では,(1)測量による樹形の3次元マッピング,(2)林冠植物の採取標本化,(3)林冠内での植物分布調査,(4)栄養塩類の林冠部動態と着生植物の栄養塩獲得戦略について安定同位体を利用した調査,(5)葉面着生微生物群集のメタゲノム解析用サンプルの採集などを実施した. 2,インベントリーチームは,カンボジア,インドネシア,マレーシアなどでのフロラ調査を実施し,地上植物と林冠植物のデータの蓄積を続け,植物地理的な解析に必要なデータベースの構築を進めてきた. 3,養分動態については,マレーシアの湿潤熱帯低地林調査区(キナバル山)における着生植物リターの解析をすすめるとともに,タイのモンスーン熱帯低地林調査区(サケラート)において窒素獲得源を特定するための安定同位体をつかった調査を進めた. 4,フロラ担当研究者は,既存標本と新規採取標本についての同定作業をすすめて,フロラリストの充実を図った. 5,2013年2月22日には,研究分担者間で調査成果を共有し,情報を交換するために九州大学理学府でセミナーを開催し,7名のメンバーが参加,九州大学のスタッフ大学院生とともに,討議を行なった.これらの成果は,4本の学術雑誌論文として受理され印刷中である.また8件の口頭あるいはポスター発表として学術集会において成果を公表した.さらに2冊の単行本として出版した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
林冠部直接アプローチによる調査は,当初予定していたインドネシアからタイに変更したものの当初計画していた標本採取や環境測定などの調査活動以外に,葉面着生微生物に関する調査や,養分動態や窒素資源獲得様式の調査などを予定よりも先行して実施し,全体としては当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の林冠部調査は,インドネシア(ハリムン山国立公園)とマレーシアの低地林調査区(ランビル国立公園)の2ヶ所で開始することで,湿潤熱帯における重点調査区での調査体制を整える.一方,林冠植物を支える森林動態解明に必要な5年間隔の定期調査をタイのドイインタノン国立公園やインドネシアの数調査区で実施する.植物地理的な分布解析については,マメ科やショウガ科などを対象分類群として,解析をすすめる予定である.
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