2015 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア林冠部植物多様性と地理的生態的な群集分化解明のための広域インベントリー
Project/Area Number |
24255007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神崎 護 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70183291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 英治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10128431)
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10176844)
原 正利 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員 (20250144)
北山 兼弘 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20324684)
酒井 章子 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (30361306)
田中 伸幸 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (40393433)
井鷺 裕司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50325130)
秋山 弘之 兵庫県立大学, 付置研究所, 准教授 (70211696)
名波 哲 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70326247)
矢原 徹一 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90158048)
永益 英敏 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90218024)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 着生植物 / 機能形質 / ハビタット分割 / 地理分布 / メタゲノム解析 / 葉圏菌相 / 多様性 / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)林冠部のロープシステム構築による着生植物多様性と生態的ハビタット分割についての調査をドイインタノン山調査区で実施した.調査では調査エリアを拡張し,さらに着生植物の植物体の機能形質についての研究を実施,ハビタット分割との連関性の研究を開始した.(2)蘚類フロラについては,ヤクシマコモチイトゴケ属とその近縁種などについて,すでに収集済みの試料を使い,塩基配列を解読し,系統解析を行った.志摩半島,奄美大島・徳之島で現地調査を行った.(3)ボルネオ島サラワク州ケラビット高地バリオ周辺の植物インベントリーを実施するとともに,同州内で得られた過去の調査データをもとに,着生植物の生態的ハビタットとしての山地林の垂直分布構造を解析した.(4)昨年度までに採取した熱帯産の着生植物を含む大量の標本について千葉県立博物館標本庫,京都大学博物館標本庫,LIPI生物学研究センターの標本館,タイ国立公園局標本館,などを利用して同定作業と採取地情報の収集作業を行い,東南アジアから東アジアにかけてのフロラとその地理分布についての整理を行った.(5)サケラート環境研究ステーションの森林より樹木葉を採集し,メタゲノム解析によって熱帯多雨林を構成する樹木の葉圏菌類構成を解析した.その結果,林床近辺においては葉サンプルごとに菌相が著しく異なっていたが,林冠方向へ向かうにつれて葉サンプル間の菌相が類似してくることが明らかになった.(6)ボルネオ島キナバル山の異なる地質と標高に置かれた森林調査区から採集した着生植物リターの全元素分析(N, P,Ca,Mg,K)を終え,着生植物リターを通して循環する元素の季節変動パターンを解析した. これらの成果は5本の査読つき論文,10本の口頭あるいはポスター発表,2本の単行本収録著作として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイインタノン山調査区での研究を重点化して,調査エリアの拡大と着生植物などの植物全般の機能形質の測定を行うことで,ハビタット分割の形成メカニズムの推定を実施した.このため,ハリムン山とランビル国立公園での本格的な調査を最終年度に延期したが,プロジェクト全体としては,おおむね当初の目的通りに順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度にあたるため,公開セミナーなどを実施して調査成果の集大成を行うとともに,ハリムン山とランビル国立公園での本格的な調査を実施することで,当初の計画通りの成果が得られるよう予算配分などを行う予定である. また,今年度の調査により植物の機能形質の解明が着生植物のハビタット特性を説明するのに非常に有効なツールとなることが判明したので,最終年度には植物の機能形質で著しい業績をあげている北島薫(京都大学)を分担研究者に加えて,研究成果の向上を目指す予定である.
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