2013 Fiscal Year Annual Research Report
確率分割による個人ゲノム漏洩におけるリスク評価と秘匿の方法の確立
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24300109
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
間野 修平 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (20372948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 達彦 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, その他 (10273468)
太田 博樹 北里大学, 医学部, 准教授 (40401228)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 統計数学 / ゲノム |
Research Abstract |
ゲノムを決定するために必要なコストは急速に下がっています.将来的に多くの個人ゲノムが決定,保持されると考えられますが,個人ゲノムは知られることを望まない個人情報を大量にもちますので,個人ゲノムが漏洩し,保有者が特定されると,それらの個人情報が漏洩することになります.このようなリスクは認識されていますが,評価法がないまま自体が推移しています.統計科学において議論されてきた相似の問題に個票開示リスクがあります.個人ゲノムは母集団にほぼ一つですから,個人ゲノムの情報をどのように秘匿処理すれば標本から個人を特定されるリスクを抑えられるかが問題になります.基礎になる統計モデルは確率分割です.本研究は,個人ゲノムの情報を利用するために保持することによる漏洩のリスク評価と秘匿の方法を確立することを目的としています.本年度までに,標本を適切に表現する確率分割の理論的検討と漏洩リスクの評価を進めました.基礎となる理論の検討については,arXivに論文を公開し,国際会議"Asymptotic Statistics and Related Topics"と統計関連連合大会で発表しました.漏洩リスクの評価に関連しては,分子生物学会年会において講演し,同様の内容を書籍「生命のビッグデータ利用の最前線」CMC出版に執筆しました.ライフサイエンスデータベースの構築者と利用者向けの技術勉強会バイオハッカソンに参加し,個人ゲノムデータ利用の目的について日本人の個人ゲノム公開のルール策定を担当するグループと意見交換しました.また,代表者の所属機関で講演会「ゲノム多様性データの利用」を開催しました.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は①確率分割の理論的検討,②漏洩リスクの評価,③漏洩リスクを制御する方法の確立という三つの課題からなります.3年計画の2年目の現時点で半分ほどが完了した状況ですので,成果は得られていますが,計画全体に対する達成度としてはやや遅れています.理由として,個人ゲノムデータを公開,保持するためには有用性を保持しながらも漏洩したときのリスクを抑える方法を検討する必要がありますが,有用性はデータ利用の目的に応じて違うために,問題の定式化が簡単でない,ということがあげられます.個人ゲノムデータの利用は多岐にわたりますから,様々な領域,立場で個人ゲノムデータに関わる方々と情報交換を行い,問題の定式化を検討しています.
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Strategy for Future Research Activity |
個人ゲノムは母集団にほぼ一つですから,個人ゲノムの情報に秘匿処理を施す必要があります.個人ゲノムデータを公開,保持するためには,有用性を保持しながらも漏洩したときのリスクを抑える必要がありますが,データ利用の目的に応じてデータ公開法は違います.そのような認識に立ち,上記の学会,技術勉強会,講演会などにおいて,様々な領域,立場で個人ゲノムデータにかかわる方々と情報交換を行い,問題の定式化を検討してきました.最終年度である本年度は,代表者,分担者,雇用予定の研究員が連携し,次の課題を進めることを計画しています.②漏洩リスクの評価:ユーザが任意に定める公開法についてのリスクを評価する支援ツールの開発.③漏洩リスクを制御する方法の確立:②の漏洩リスクの評価ツールを基盤として,領域を限定,再符号化,撹乱などの秘匿処理を施すための支援ツールの開発.これらのツールの開発の過程において日本人ゲノムのデータ解析,より有効な秘匿処理の提案などの成果が得られることが期待されます.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
雇用を予定していた研究員の雇用が無くなり,その分の人件費が余りました. 本年度の人件費に使います.
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Research Products
(6 results)