2013 Fiscal Year Annual Research Report
超偏極希ガス磁気共鳴イメージング法による肺機能診断と前臨床評価系の構築
Project/Area Number |
24300163
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 敦臣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70303972)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超偏極 / MRI / 肺機能診断 / 慢性閉塞性肺疾患 / 前臨床評価 |
Research Abstract |
感度不足という生体磁気共鳴(MRI/MRS)計測に固有の問題を乗り越えるべく開発した連続フロー型超偏極Xe(HPXe)製造装置において、「Xeに有機ガスを混合・加圧(2.5気圧)して光ポンピング法にて偏極操作を施した後、HPXeを精製することで従前の感度を約2倍に改善する、即ち5万倍の感度向上を達成できる」との独自の知見を得た。平成25年度は、本装置の更なる改良を行い、上述の有機ガス混合による感度向上は低圧(0.15気圧)条件下でも達成できることを見出し、簡便なHPXe-MRI前臨床評価系を構築することができた。 一方、タバコ煙薬液(CSS:Cigarette Smoke Solution)とリポ多糖を組み合わせて気管内投与することで作成した慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態モデルマウスについてHPXe-MRI肺機能診断法の有効性を確認し、呼吸機能パラメータの中でも換気率(1回の呼吸でどの程度肺中のガスが入れ替わるかを示す指標)、およびガス交換率(ガスが肺胞中と血液中とでどの程度入れ替わるかを示す指標)が有意に低下することを実験的に明らかとした。これらをバイオマーカーとして利用し、COPDモデルマウスに種々の抗酸化剤や抗炎症薬を投与して薬効評価を行ったところ、エチルピルビン酸の保護作用を新たに見出すことができた。今後は、エチルピルビン酸の治療効果を確認するべくCOPDの重症度であるI期(軽症)~IV期(最重症)の、どの段階まで薬物治療が有効であるか確かめながら画像診断を行う。 上記の研究と並行して、Xeの換気動態を解析することで肺胞内緩和速度を求め、これから灌流を同時評価できることを見出し、簡便に換気/灌流比に基づく機能画像を取得することに成功した。この換気/灌流比がバイオマーカーとして有効であることを実証し、エチルピルビン酸の治療効果判定に利用可能か確認したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の知見に基づいて当初計画を上回る偏極率の5倍向上を達成する簡便な装置を開発し、超偏極キセノンのMRI前臨床評価系を構築することができた。このシステムを利用して、タバコ煙薬液により病態を誘発したマウスが慢性閉塞性肺疾患(COPD)モデルマウスとして有用であることを確認し、換気と拡散の機能パラメータに由来するバイオマーカーに基づいて計画に記載の抗酸化剤や抗炎症薬の薬効評価を行ったところ、エチルピルビン酸が肺胞壁破壊に対する保護効果を有することを見出すことができた。また、並行して新たなバイオマーカー候補として換気/灌流比の同時計測法を開発し、その有用性を確認した。以上は、いずれも計画通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
超偏極キセノンの革新的MRI肺機能診断手法に基づく前臨床評価を推進し、COPDに対する新薬探索を継続する。引き続き、COPDモデルマウスの改善を行いつつ換気/灌流比の同時評価法の精度向上を図り、画像診断におけるバイオマーカーとして有効性を確認したい。以上の成果を基にして新薬シーズを発見する手がかりとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
独自の知見に基づいて同位体濃縮キセノンを使用しなくても当初計画通り偏極率の5倍向上を達成する条件を発見し、これに基づく連続フロー型超偏極キセノン製造装置の開発に成功した。これにより同位体濃縮キセノンと天然存在比キセノンとの差額が生じたため、次年度使用額が発生した。 上述の条件では、超偏極キセノン製造時に有機ガスを混合して偏極操作を行った後、これを低温化で分離精製することで目的の偏極率を達成する。このため分離精製装置を開発する必要があり、平成25年度に試作に成功したが平成26年度も継続し改良を行う。このための費用に充当する計画である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Validation of non-invasive morphological and diffusion imaging in mouse mphysema by micro-CT and hyperpolarized 129Xe magnetic resonance imaging2013
Author(s)
Tetsumoto S, Takeda Y, Imai H, Kimura A, Jin Y, Nakanishi K, Maeda Y, Kuhara H, Tsujino K, Iwasaki T, Shigeta H, Kondo Y, Ito M, Minami T, Hirata H, Takahashi R, Kohmo S, Nagatomo I, Inoue K, Kida H, Kijima T, Tachibana I, Maeda N, Funahashi T, Shimomura I, Fujiwara H, Kumanogoh A
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Journal Title
Am J Resp Cell Mol
Volume: 49
Pages: 592-600
DOI
Peer Reviewed
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