2014 Fiscal Year Annual Research Report
単独操作者によるポータブル使用が可能で耐久性に優れた超小型心肺補助システムの開発
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24300168
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
妙中 義之 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 研究開発基盤センター長 (00142183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 英介 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00216996)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超小型 / 軽量 / ポータブル / 人工肺 / 結露防止 / 準備迅速性 / 心肺補助 / 耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライバユニット内蔵のセンサに最適化した専用回路と専用ホルダから構成されるディスポーザブルユニットを試作,ドライバユニットに収納可能とすることで,1つに統合された2次試作モジュールを開発した.酸素ボンベユニットを含む筐体サイズは,横幅290 mm×奥行205 mm×高さ405 mm,重量は8.9 kgであった.超小型・軽量化を実現したことにより,駆動装置のハンドルを片手で把持するだけで,操作者単独で本システムをポータブル運用することも可能となった.長期使用時のガス交換性能低下の一因子である結露発生を防止するために,人工肺のガス流出側に,排熱を利用した乾燥温風を送る機構をドライバユニットに実装した. 結露防止機構による温度特性を測定した.外気温度26.0 ± 0.5 ℃に対して,ドライバユニットからの排熱温風による人工肺ガス流出部の温度は44.5 ± 0.5 ℃と,想定される血液温37 ℃よりも十分に高く維持でき,血液温と同程度に暖められて飽和水蒸気圧に達する流出ガスによる結露発生の防止に有効であった. 準備迅速性の評価として,ディスポーザブルユニットの収納(内蔵センサと接続),回路内液充填およびエア抜きまでの一連の作業について水実験を行った.30秒で上記装着を完了し,90秒で落差充填および気泡除去が可能であった. 全血液接触面にヘパリンコーティング(T-NCVC)処理を施した試作ECMO回路を作成した.長期耐久性を評価するために,成ヤギを用いた右房脱血総頚動脈送血の慢性心肺補助動物実験を行った.ヘパリン等の持続投与による抗凝固療法を一切施行せずに,4例中3例で30日間のECMO使用が可能であった.内1例は送血管周囲からの出血により20日目で終了した.全例において,デバイスの交換をすることなく,十分なバイパス血流量とガス交換性能を維持していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業の協力も得る事で,前倒しして超小型・軽量の2次試作モジュールの製作を達成することができた.この2次試作モジュールに実装した新規な結露防止機構の特性およびシステムの準備迅速性の評価を行い,その有効性が確かめられた.ヘパリン等による持続的な抗凝固療法を行わずに,試作ECMO回路による動物実験を4例施行し,デバイスの交換を要することなく30日間の優れた長期耐久性,機能の安定性を示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様に,進捗状況に応じて適宜評価しつつ,計画の部分的な前倒し等の調整を図ることで,年度毎の計画目標達成を目指す.
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Causes of Carryover |
本年度は,試作に要する物品費や謝金の予定額を要することなく,計画を十分に達成し得たため,当該助成金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,さらなる進捗の効率化を目指して,設計・解析に要する関連品,機器の試作および実験に関わる消耗品等に費用を充てる予定である.
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Research Products
(15 results)