2013 Fiscal Year Annual Research Report
慢性期脊髄損傷をモデルとした神経回路のManufacturing戦略に関する研究
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24300197
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Research Institution | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
Principal Investigator |
赤居 正美 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所, 研究所顧問 (80143452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究部長 (00392192)
浜之上 誠 東邦大学, 医学部, 講師 (00312025)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 脊髄損傷 / 歩行運動 / 痙縮 |
Research Abstract |
中枢神経疾患に起因する運動器障害に対し、ハードウェアとしての神経回路とソフトウェアとしての運動学習過程の両面からのアプローチを試みる。本研究は、脊髄損傷にみられる不随意運動の一つである痙縮を軸に、それらを関連付けた実験フローを構築し、臨床応用につながる痙縮制御と歩行機能改善にむけた新たな治療法の開発を試みる。研究計画として、 1.実験動物とヒトをリンクさせ慢性期脊髄損傷への訓練効果を評価するシステムの構築。2.動物モデルを用いたリハビリ効果定着促進の試み、の2つを年次計画で進める。 研究二年目は初年度の課題であったラット脊髄損傷における下肢筋電図測定に重点を置き、無線式の埋め込み型筋電測定機を導入した。その結果、片側の下腿拮抗筋同士である前脛骨筋と腓腹筋を歩行動作中に同時に、継続的に記録することに成功した。このことは今後、薬理的あるいはリハビリ的介入を加えた際の変化を筋電図で追うことができる点で重要な成果となった。 一方、中枢神経への炎症誘発の実験は研究分担者の浜之上によって行われ、炎症シグナルの一つであるp38経路を活性化させる誘導体の投与を試み、その影響を活性型ミクログリアのマーカーであるIba1の発現によって観察をしている。現時点で、Iba1の活性化を組織学的に確認できる段階に達しており、今後その最適化を図る段階となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット下肢の拮抗筋の無線筋電計による持続計測は実施が困難な実験系の一つであり、これがクリアされたことは本研究だけでなく、他のリハビリ研究にも波及効果をもたらすと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄損傷ラットの歩行特性を筋電図によって解析する手法を確立させ、そこに脊髄内炎症誘発の介入を加える実験を行う。具体的にはラット脊髄損傷モデルを作成後、拮抗筋同志の収縮「痙縮」が出現する受傷後4週目まで経過を観察した後、筋電計の埋め込みを行う。その後、前年度より検討を進めているp38活性化因子の投与を行い、それに引き続いてアシスト下での歩行訓練を実施する。ヒト脊髄損傷のリハビリではこうしたアシスト歩行の効果は痙縮に対して一過性の効果を示すことが知られているため、こうした効果が動物実験で確認できるか、また脊髄内での炎症反応の誘導が効果の発現と持続にどのような影響をもたらすかを筋電図解析ならびに組織学的解析によって行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の実験計画の中で、動物実験に関連した予算を確保していたが、他の実験進行状況との兼ね合いで年度内の実施が困難となった。そこで無理に年度内に実施することなく、次年度に計画を延期したため、繰り越す金額が発生した。 研究全体の進捗には影響ない。 平成26年度の動物実験に対し、前年度予定していた動物実験を1回分追加する形となる。
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