2012 Fiscal Year Annual Research Report
運動習慣が脳循環動態・脳循環調節機能に及ぼす影響:脳疾患予防の基礎的研究
Project/Area Number |
24300237
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 忠吉 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (40294136)
菅原 順 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (00357261)
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 生活習慣病 / トレーニング / 脳血流 / 呼吸調節 / 血圧調節 |
Research Abstract |
平成24年度の研究計画は、"運動トレーニングが脳循環動態及び脳循環調節機能に及ぼす経時的・直接的影響の解明"であった。運動習慣や運動トレーニングが、加齢による脳血流量低下を抑制し、さらに認知症などの脳疾患発症リスクを軽減させことから、本研究では、脳循環への運動トレーニングの効果を経時的な脳血流量や脳血管特性、脳自己調節機能等の測定から明らかにし、運動トレーニングの脳疾患発症の抑制メカニズムを探求することを目的とした。 本年度の実験は、計画に従って進められ、運動トレーニングの影響を調査するために横断的研究手法を用いた。本実験では、脳循環調節で重要な脳自己調節機能が持久性トレーニングにより低下すると仮説を立て、持久性アスリートと非アスリートとの比較実験によりこの仮説を検証した。 定期的に運動を行っていない(週2日以下)体力レベルが中等度(AF;最大酸素摂取量40ml/min/kg)の健常男性11名(非鍛錬群)及び2年以上、週5~6日の持久運動トレーニングを行っているアスリート(HF;64ml/min/kg以上)男性13名(鍛錬群)を対象に実験を行った。動的な脳自己調節機能の同定は、先行研究と同様の方法を用いた。被検者は、座位姿勢において、カブ止血リリース法による動脈血圧低下時の中大脳動脈血流速度(経頭蓋ドップラー計測装置;TCD法)の反応から脳自己調節機能の指標であるRoR(rate of regulation)を算出し評価した。 RoRは、両群間で有意な差は観察されなかった(AF,0.193±0.039/s;HF,0.129±0.029/s=P=0.560)。この結果は、我々の仮説とは異なり、動的な脳循環調節機能が、持久性トレーニングによる起立耐性の低下に関与する可能性が低いことが示された。しかしながら、起立ストレス時にHF群で脳酸素化動態の低下がAF群と比較して有意に大きい(P<0.001)ことから、運動習慣による体循環調節機能の違いが脳循環動態に影響していることが示唆された。 本実験の結果は、医学系英雑誌に投稿中であり、現在2nd Revisionである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のなかの研究(1)の実験が終了し、現在論文投稿中である。また関連の実験も数多く行っており、本年度の発表論文は、英雑誌10本にまとめている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った実験をすべて論文掲載することを目指す。また、実験を研究計画に従って引き続き行っていく。本年度は、縦断的研究により、運動習慣の脳循環調節機能に及ぼす影響について調査する予定であったが、実験等の問題点より、横断的研究に切り替えた。今後も、研究課題を遂行するため、柔軟に対応していきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、レーザードップラー血流計の購入(240万円相当)を予定していたが、共同研究者からの借用により実験遂行が可能となり、購入の必要性がなくなった。次年度は、脳循環調節機能に加えて、申請者の呼吸調節機能と脳循環動態との連関に関する研究背景から、運動習慣による呼吸系調節機能の適応変化が脳循環に及ぼす影響を横断的研究から明らかにしていく。本年度からの繰り越し資金は、次年度研究計画を遂行するために使用する。予定としては、研究を進める上で必要となる、ベッドサイドモニター(160万相当)及び呼吸機能刺激のための低酸素発生装置(100万円相当)の購入を予定している。レーザードップラー血流計の借用は継続予定。
|
Research Products
(18 results)