2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群・生活習慣病のバイオマーカーとしてのオゾン酸化コレステロール
Project/Area Number |
24300257
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
大島 寛史 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (80433209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 規之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (70438191)
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
伴野 勧 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員共同研究員 (60554011)
糠谷 東雄 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員教授 (00094342)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 健康と食生活 / オゾン酸化コレステロール / 生活習慣病 |
Research Abstract |
コレステロールのオゾン酸化物であるsecosterol-Aとそのアルドール化により生成するsecosterol-Bは、ヒトの動脈硬化プラ-クや認知症の脳組織において、その存在量が増加することが報告されている。これらのsecosterol類は、強い細胞毒性を示すことから、動脈硬化や神経変性症などの発症において重要な役割を演じているものと考えられている。また、secosterol類は、タンパク質と共有結合して付加体を生成し、タンパク質の凝集、異常な折り畳み、線維化などを誘導し、タンパク質を変性させることが報告されている。そこで、本年度は、secosterol類により変性する細胞タンパク質の同定を試みた。ヒト白血病細胞HL-60から作製した細胞抽出物に、secosterol-Aおよび-B、あるいはその他の過酸化脂質由来のアルデヒド(4-hydroxynonenal, malondialdehyde, acrolein) を添加し反応させた。不溶化したタンパク質は、SDS-PAGEで分離し、さらにプロテオミクスの方法を用いてMALDI-TOF-MSで分析した。その結果、secosterol類を反応させた時に特異的に不溶化するタンパク質の一つとして、ankyrin repeat domain-containing protein 6 (diversin)を同定した。このタンパク質diversinは、Wntシグナル経路を抑制的に調節していることで知られている。従って、secosterol類によるdiversinの変性は、発がんの促進や脳における新生ニューロンの産性阻害などの影響を及ぼす可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
secosterol類により変性する細胞タンパク質として、ankyrin repeat domain-containing protein 6 (diversin)と同定した。このタンパク質diversinは、Wntシグナル経路を抑制的に調節していることで知られており、secosterol類によるdiversinの変性は、発がんの促進や脳における新生ニューロンの産性阻害などの影響を及ぼす可能性がある。現在投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度であり、secosterol類の生体試料(血清など)中の存在量と疾患との関連について検討していく。疾患としては、現在、我が国において約1000万人存在すると推定されている非アルコール性脂肪肝疾患に注目し、単純性脂肪肝および非アルコール性肝炎(NASH)患者からの生体試料(血清など)について分析を進めて行く。また、必要に応じて、NASHの動物モデル由来の生体試料についても分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
培養細胞を用いた解析を優先させた結果、未使用額が生じた。 平成26年度研究費と合わせて研究のための試薬等を購入する。
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Research Products
(16 results)