Research Abstract |
本研究の目的は,日本・アメリカ・中国の算数科の授業研究において,それぞれの国のスタッフ・ディベロッパー(以下SDとする)がどのような数学観,授業観,児童観などを持ち,授業研究でどのような指導助言をしているのかを調べ,その指導が教員の授業力向上にどのような影響を与え,さらに算数科授業がどのように改善されているかを明らかにすることである。加えて3国間の国際比較を行うことによって,日本の授業研究における指導助言の特徴も明らかにする。 平成24年度は,日本の算数科授業研究のSDの実態の収集・分析とアメリカ・中国の算数科授業研究のSDの実態の収集・比較を行った。 日本の算数科授業研究の収集は,佐野勝彦押原小学校長の協力を得て,校内研究会の様子,SDである国立政策研究所笠井健一調査官の指導内容を収集し分析した。また,宮城県では田端教授がSDとして指導した4件の算数科授業研究の指導助言を逐語記録にして分析した。弘前市では中野教授がSDとして指導した11件の算数科授業研究の指導助言を逐語記録して分析した。その他,東京学芸大学藤井斉亮教授,礒部年晃調査官,岡田正志山梨大附小副校長,嶋田一彦山梨大附中副校長から資料を提供してもらった。 アメリカ・中国の算数科授業研究の実態収集・分析は,11月29日から12月4日まで中国上海の上海青浦教育研究所においてお互いの国の算数科授業研究の資料を提出し,SDの役割についての議論を行った。日本は中村,早川准教授,清野准教授,佐野校長がアメリカからはYoshida Makoto(パターソン大学),Lynn Paine(ミシガン大学),Clea Fernandez(前コロンビア大学)の他4名が,中国からJiansheng Bao(鮑建生),Lianyun Zhu(朱〓云)のほか約30名の教員・研究者が参加した。そこでは,同一の授業ビデオを観ながら,各国のSDの指導助言の内容について比較し,それぞれの国の特徴と共通性について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,学部運営の仕事に携わり,年度当初に本研究を遂行する時間を取ることができなかったためである。また,アメリカにおける授業研究でのスタッフ・ディベロッパーの役割を収集する予定が,アメリカの研究者との日程調整がつかず,外国出張をすることができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究推進になるので,アメリカへ出張し,算数科授業研究でのスタッフ・ディベロッパーの役割について実際に資料を収集し,インタビューを行う。また,日本,アメリカ,中国の研究者が一堂に会して,指導助言の内容についての共通な枠組みを作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アメリカの授業研究に関する資料収集のためのアメリカ出張ができなかったため,外国出張旅費,翻訳料などの金額を繰り越している。これらの経費により,アメリカへ出張し,スタッフ・ディベロッパーの実際の指導などをみて,意見交換,資料収集などを行う。
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