2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己内対話と他者対話の同型性に着目したメタ思考能力育成支援ツールの開発
Project/Area Number |
24300288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
瀬田 和久 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (50304051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80212786)
小尻 智子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (40362298)
鍋田 智広 北陸先端科学技術大学院大学, 大学院・イニシアティブセンター, 助教 (70582948)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オントロジー / 自己内対話 / 他者対話 / メタ思考力 / 学習支援 |
Research Abstract |
本研究では,創造的思考の礎としてのメタ思考能力を育成する教育メソッドの開発・共有・洗練の情報基盤をオントロジーを基礎にして構築することを目的としている.このために本年度は,(1)潜在的なメタ思考の概念をオントロジー工学的手法により峻別することでのメタ思考オントロジーの構築に着手した.また,(2)自分の思考に閉じこもらず自らの思考を他者視点から相対的に捉える能力を培うため,共同思考の振り返りにより自己内思考の吟味を促すメタ思考学習支援ツールの開発に取り組んだ.さらに,(3)大学初年次生を対象として,メタ思考能力を育成する教育メソッドを開発し,実践するとともに議論鑑賞課題を与えることにより有用性を評価した. この結果,(1)で構築したオントロジーに基づいてメタ思考の表出化と同型性の理解に基づいた自己内対話への内面化を促進することで,メタ認知的気づきが促進され,他者のメタ思考についての推察活動が活性化されることが示唆された. (2)については,以下の2点の課題【課題1】自己内対話は潜在的であり,表現の基礎になる概念体系の欠如が,メタ思考に関する知の交流を本質的に難しくしている,【課題2】他者の内的思考は観察できない.共同思考でメタ思考的発言が表出化されても,メタ思考実施の暗黙的ノウハウの内面化を難しくしている,の解決を支援することを目的とし,以下の(a)~(c)の3つの知的機能の実現に取り組んだ.(a)意見の「発現」「修正」「撤回」「棄却」のイベントに着目した共同思考の再構成過程の可視化機能,(b)共同思考の振り返り過程で参加者の自己内でなされた潜在的メタ思考内容をオントロジーに基づいて対話的に分析する機能,(c)自己内対話との差異分析機能.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタ思考能力育成のための教育プログラムを設計し,実践することで,本年度の教育目標が概ね達成されるとともに,今後取り組むべき課題が明確になったこと.また,ツール開発についても計画通りに概ね進んでいると考えられることより,上記の区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は大学初年次生を対象とした教育プログラムの実践を行ったが,25年度は教育プログラムの実践対象を医療サービス従事者に拡げ,有用性の検討と熟達モデル構築へとすすみたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はソフトウェア開発費用(謝金)が計画額より少額ですんだため,残余額を25年度の医療従事者を対象としたワークショップの協力謝金,およびソフトウェア開発費用に充当したいと考えている.
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