2014 Fiscal Year Annual Research Report
自己内対話と他者対話の同型性に着目したメタ思考能力育成支援ツールの開発
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24300288
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
瀬田 和久 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50304051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (80212786)
小尻 智子 関西大学, 工学部, 准教授 (40362298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタ思考 / オントロジー / 自己内対話 / 学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,創造的思考の礎としてのメタ思考能力を育成する教育メソッドの開発・共有・洗練の情報基盤をオントロジーを基礎にして構築することを目的としている.このために本年度は,これまでに実施した教育プログラムにおける蓄積データをもとに共同思考プロセスの変容を分析し,構築したオントロジーとツールの有用性評価を試みた.初年次学生対象の講義科目では先行研究で開発した半構造化インタビューによりメタ思考力形成と意識変容プロセスを調査した.実践知リポジトリは,構成意図の了解性,授業シナリオ設計への有用性の観点から意味検索機能を評価した. さらに,オントロジーと支援システムの開発に前年度の結果をフィードバックして洗練を行った.加えて,本研究の成果をメタ思考教育モデルとして一般化することを目指し,共同思考と自己内対話変容の相関を分析(他者対話と自己内対話と同型性に基づく変容分析)し,汎用技能としてのメタ思考能力の熟達プロセスモデルを構築する足がかりとなる知見を得た. 総合すると,メタ思考の表出化と同型性の理解に基づいた自己内対話への内面化を促進する適応的な刺激をシステムが与えることにより,メタ認知的気づきが促され,他人の思考についての推察活動が活性化されることが分かってきた.そして,より適応的な助言生成機構を実現し,有意義なメタ認知的気づきを与えるタスク設定の方法として,プレゼンテーションスライドを事前に準備しておき,プレゼンテーションをそこから選択することで構成するアプローチに関する着想を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スライド選択アプローチという新しいメタ思考力育成の方法を着想し,学習者の理解態度変容を促す新しい支援方法としてツールに実装し,パイロット評価を行うことができたたため,上記の区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した教育プログラムの有用性評価と,熟達モデルのさらなる洗練に取り組み,本研究のメタ思考力育成プログラムの普及モデルを形成したい.
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Causes of Carryover |
自己内対話を喚起する情報提示機能について,当初想定しておらなかった新しい独自の着想が生まれ,これを機能として組み入れたために時間を要した.このため計画を変更し,平成26年度に実現する予定であった被験者による評価実験の実施と成果公表を次年度におこなうこととしたため未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため,評価実験の実施と国際会議,論文誌での成果公表を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てる計画である.
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