2012 Fiscal Year Annual Research Report
衛星SARを用いた多地域対応型遺跡探査技術に関する研究
Project/Area Number |
24300304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
惠多谷 雅弘 東海大学, 情報技術センター, 技師 (60398758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 陽久 東海大学, 総合科学技術研究所, 教授 (20056245)
長谷川 奏 早稲田大学, 総合研究機構, 研究員 (80318831)
鶴間 和幸 学習院大学, 文学部, 教授 (50143144)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 衛星 / SAR / 遺跡探査 |
Research Abstract |
考古学領域において衛星データに最も期待されることは、砂漠や密林に埋もれてこれまで発見されていない未知遺跡の検出である。本研究では、地中透過性を有することからそうした未発見遺跡の検出に大きな期待がある衛星搭載マイクロ波センサSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダ)の観測データを用いて、世界各地の考古学調査に有効な効率的かつ汎用性の高い遺跡探査手法を開発することを目的とする。研究の最重要課題は、エジプト学史上初となる地中遺跡発見に成功した手法を、条件が異なる他の地域の調査でも有用な多地域対応型の遺跡探査技術に改良するための方法論の検討とそれによる技術的体系の確立である。 H24年度の研究では、エジプト・ナイルデルタに分布するヘレニズム時代のテル状遺跡の探査にALOS衛星搭載フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)を活用し、Landsat-7搭載ETM+データと組み合わせた多チャンネル分類処理を実施した結果、未知遺跡の有望地点を含む遺跡群の抽出が可能であることが確認できた。さらに抽出された遺跡の有望地点を対象として、COROBNA、QuickBird、WorldView-2などによる多時期高分解能衛星画像の比較判読を行った結果、デルタ西方のイドゥク湖南岸において、ヘレニズム時代の住居跡と推定される方形状の遺構の痕跡が残る未報告の遺丘Site No.52の存在を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年2月、調査対象地域であるメンフィスネクロポリス(テストサイト1)内で政府対反政府派住民紛争による発砲事件が発生し、セキュリティー上の問題から、外国人の遺跡入構調査が全面禁止の状況となり実施が困難となった。そのためH24年度3月に計画していた研究者全員によるエジプト・メンフィスネクロポリスのグランド・トゥルースとそれによる情報の共有化をエジプト考古庁からの調査許可が下りる見込みのH25年9月以降に繰り越すこととなった。。
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Strategy for Future Research Activity |
メンフィスネクロポリスのグランド・トゥルースと情報の共有化を最優先で進め、それによって古代中国遺跡の探査への応用方法の検討を行う。その上で、古代エジプト遺跡を対象に実施してきた探査技術の方法論を新たに中国(テストサイト2)で展開するための準備として、まず西安市東部の驪山北麓に位置する秦始皇帝陵、西安西部の咸陽原に並び建つ漢代皇帝陵、さらに漢長安城や咸陽宮などの代表的な既知の大型遺跡を対象に、研究者全員が現地に赴き、新たなサイトでの具体的な調査方針策定のための現況把握を行う。また、研究目標達成に向けた現地専門家との意見交換やSARの観測対象物のパラメータ情報の調査・計測を通して、各遺跡の空間的特徴や古代から現在に至る自然環境を理解する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年2月までに、テストサイト1(エジプト・メンフィス・ネクロポリス)の第一次グランド・トゥルースおよび予備検討を終了し、同年3月までに同地域の第2次グランド・トゥルースを実施する予定であったが、調査対象地域内でエジプト政府対反政府派住民紛争による発砲事件があり、外国人の遺跡入構が全面禁止となったことから、第2次グランド・トゥルースの実施を次年度に持ち越さざるを得なくなった。 エジプト考古庁からの調査許可がおりる見込みのH25年7月以降で再度現地協力機関と日程調整を行い、テストサイト1の第2次グランド・トゥルースを実施する計画であり、そのために必要な旅費および物品費等に全額使用する計画である。
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Research Products
(5 results)