2013 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティック異常の超高精度蛍光イメージングによるがん悪性度診断法開発
Project/Area Number |
24300336
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
権田 幸祐 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80375435)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 憲明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90203710)
甘利 正和 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50400312)
多田 寛 東北大学, 大学病院, 講師 (50436127)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ナノバイオ / バイオテクノロジー / がん / エピゲノム / イメージング / 蛍光 / 免疫染色 |
Research Abstract |
DNAやヒストンのエピジェネティック異常の蓄積は、がん抑制遺伝子の転写抑制を引き起こし、発がんを促す。これまで、エピジェネティック異常の検出法は、細胞の形態情報を失っており、細胞個々の情報が平均化されていた。がん組織内の環境は多様化しており、エピジェネティック異常の高い細胞(がん悪性度の高い細胞)から低い細胞が混在し、抗がん剤の細胞感受性のばらつきに繋がっている。本研究ではヒストン修飾の解析を目的とした蛍光免疫染色法を新規に開発する。ヒトがん組織の「エピジェネティック異常の蓄積度合い」を細胞レベルで計測し、「エピジェネティック異常の蓄積度合い」と「がん悪性度」や「抗がん剤奏効性」の相関性を臨床データを用いて検討する。さらに新規染色法を担がんマウスに応用し、ヒストン治療薬の効果を定量的に評価可能な創薬モデルの構築を目指す。 25年度は、24年度に検討したヒストン修飾の蛍光免疫染色法をさらに改良した。実際には、24年度の反応条件を基盤として、さらに界面活性剤の種類や濃度を検討し、いくつかのタンパク質分解酵素を応用することで、Cy3や蛍光ナノ粒子を用いた免疫染色法の特異性を向上させた。ヒト乳がん由来の低転移性や高転移性の培養細胞株を複数種類用い、これらの培養細胞株の免疫染色を本年度改良した方法で行った。その結果、細胞株間のヒストン修飾レベルの違いを高精度解析することに成功した。以上により、26年度に計画しているヒト乳がん組織の蛍光免疫染色に向けた準備を整えることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では性状の異なる培養細胞種を使ったヒストン修飾の免疫蛍光染色法の確立を目指しており、計画の目的をおおむね達成しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度は、これまで培養細胞を用いて得られた知見や技術をヒト乳がん組織に応用し、「エピジェネティック異常の蓄積度合い」を1000細胞以上でイメージングすることを目標とする。イメージングの解析データと「がん悪性度」や「抗がん剤奏効性」の相関性を臨床データを用いて検討し、ヒトがん組織でのエピジェネティック異常診断法の確立を目指す。また本蛍光染色法を担がんマウスに応用し、ヒストン治療薬の効果を定量的に評価可能な創薬モデルの構築を目指す。本実験では、多くの細胞の核1個当たりの蛍光体の強度を高精度で評価する必要がある。多くの細胞の観察には電動ステージを用いた画像のタイリング機能が有効となるため、それに必要な備品を計上した。
|
Research Products
(3 results)