2012 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性下における共有資源管理政策と農牧林業の脆弱性に関する国際比較の計量分析
Project/Area Number |
24310031
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼木 俊次 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (60289345)
沈 金虎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70258664)
平田 昌弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (30396337)
衣笠 智子 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (70324902)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 共有資源管理 / 草地資源 / 過放牧 / 非均衡モデル / システムダイナミクス |
Research Abstract |
・本研究は、アフリカ乾燥草原地域の草地資源の持続的管理と農牧民の所得安定を目指す政策を提言するため、北東アジア地域で一定の成果を挙げた政策プログラムを東アフリカの農牧経営に適用する場合の経済的効果を数理モデルを用いて推定するものであり、平成24年度にはエチオピアおよび中国においてその予備的調査を実施した。 ・まず、エチオピア北部のアファール州アバラ郡において、畜産物の市場流通に関する実態調査を行った。また、農牧経営および農牧民世帯の消費活動の実態を把握するため、現地農牧民を対象とした参加型農村調査を実施した。同国アファール州では、過去10年間にわたり深刻な旱魃が続いており、自然草地での遊牧を基盤とする牧畜民の生計がおびやかされていることが裏付けられた。参加型調査において、旱魃被害の実態と旱魃による農牧民のリスク回避行動について詳しく調べた。さらに同国ティグライ州北部およびオロミア州中部地域において牛乳取引に関する市場調査を行った。アディスアベバおよびナイロビの畜産研究機関を訪問し、関連する情報収集を行った。 ・また、中国の陳西省北部の黄土高原地帯の農山村において、農牧民の収入の不確実性および気候リスクに対する適応行動や共同作業への出資・参加行動、グループへの協力・信頼行動について、実験経済学的手法を援用して予備的経済実験を行った。この調査結果を前述のエチオピアでの農牧民の行動調査に反映させた。加えて、貴州省安順市周辺の砂礫上壌浸食に伴う丘陵砂漠化や四川省綿陽市周辺における農地転用に伴う資源環境問題、さらに乾燥地域の牧畜支援策、草原の保護、回復の政策プログラムに関する聞き取り調査を行うとともに、草地の利用権制度に関する調査を行った。 ・以上のことから本年度には、調査対象地の農牧業を取り巻く社会経済条件および持続的畜産の成立条件に関する予備的社会経済データの収集を完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書における「研究の目的」で示したように、北東アジアで一定の成果を挙げた政策を東アフリカの農牧経営に適用する場合の経済的効果についてモデル分析することが主たる目的であるが、その前提として、両地域において予備調査を効率的に実施し、今後の分析に必要な調査結果の情報を収集したことから初年度の達成度としてはおおむね順調に進行していると評価できる。.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策については、翌年度とその次年度に、中国については、乾燥地域における農牧民行動の参加型調査を本格的に行い、アフリカについては同じく農牧民の酪農を中心とする生産、経営、流通、消費行動について、経済実験を含めて調査し、最終年には、両地域の農牧民の不確実性に対する行動の比較分析を実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の直接経費のうち、574211円を次年度使用額に配分した。平成24年度は初年度であったため、エチオピアでの調査は予備調査として実施したので、調査費用は安くおさまったが、次年度は中国およびエチオピアとも本調査を実施するため、その調査分析費用が不足することが予測されたため、その不足予定額を次年度に配分した。翌年度の研究費(補助金+基金助成金)と合せた使用計画は、物品費40万円、旅費264万4211円、人件費・謝金25万円、その他128万円の合計4574211円を計画している。
|
Research Products
(25 results)