Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 伸二 香川大学, 農学部, 准教授 (60165868)
栗原 伸一 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (80292671)
丸山 敦史 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (90292672)
石田 貴士 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 助教 (30623467)
小林 達明 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (40178322)
|
Research Abstract |
東日本大震災によって農業が被った被害のうち,未だに復旧の目処が立っていないものは,農地・農産物の放射能汚染,およびそれに伴う消費者の食の安全・安心に対する不信感である。これらの問題は必ずしも自然災害とは言い切れないが,今後巨大災害が発生したときに,それにともなって,放射性物質に限らず,有毒物質,強毒性微生物などが漏出してしまうことは十分に考えられる。その復興過程においてどのような食の安全・安心に関する情報を利用すべきかを,この機会に調査して,発生してしまったときにはどうすればよいか準備しておく必要がある。研究代表者らは,従来は流通過程の情報のみを利用していたトレーサビリティシステムに生産者も情報を提供する「生産者参加型のトレーサビリティシステム(放射能測定結果公開システム)」を2012年度に構築した。このシステムを用いて,以下の手順で購買実験を行った。(1)生産者は自分の圃場や作業場で農産物に含まれる放射性物質を出荷前に測定する(圃場ごとにサンプリング)。(2)生産者は,その測定結果をタブレット端末と3G回線などを使ってシステム管理会社のデータセンターに送信しておく。(3)測定結果は,Webサイトで自動的に更新され,即時公開される。(4)小売店では,WebサイトのURLと紐付けられたQRコードを記載したラベルを印刷し,農産物に貼っておく。(5)消費者は,自分のスマートフォンや,店舗備え付けのタブレット端末などでQRコードを読み,手に取った農産物とほぼ同一の放射性物質の含有量を知ることができる。購買実験の結果,産地や価格といった基本的な商品属性にのみ反応する消費者が多く,その他の情報に対して対してはなかなか反応しないことが明らかとなった。ただし,実験後のインタbyツーからは,一旦,QRコードに興味を持たせることができれば,同システムは有効であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度の研究目的のうち,最もプライオリティの高いトレーサビリティシステムを構築することができた。また,これを用いた購買実験を実施し,購買動向の一端を明らかにすることができた。
|