2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24320022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 剛 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40409529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 ひろ子 一橋大学, 社会(科)学研究科, 特任教授 (30205778)
アン ニ 明治学院大学, 文学部, 研究員 (70509140)
砂山 幸雄 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (00236043)
佐藤 普美子 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (60119427)
村田 雄二郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70190923)
高見澤 磨 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70212016)
羽根 次郎 明治大学, 政治経済学部, 講師 (30726261)
加治 宏基 愛知大学, 現代中国学部, 助教 (80553487)
竹元 規人 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80452704)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人文学 / 被災経験 / 章炳麟 / 香港現代思想史 / 日中間対話 / 東アジア / 辺境 / 災害の思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ワークショップ「終わらぬ被災経験と人文学の役割:日中間対話を通じて」:11月21~26日まで、福島の東日本大震災被災地におけるフィールドワークと、東京大学駒場キャンパスにおける同名シンポジウムからなるワークショップを行った。中国から張志強氏(中国社会科学院哲学研究所)と李樺氏(中山大学哲学系)を招聘した。 (2)ワークショップ「章炳麟解釈史と現代中国思想史研究の批評的検討」:11月29、30日に東京大学駒場キャンパスで、章炳麟の思想の戦後の研究状況の中でどのように論じられてきたかを検討した。研究メンバー以外に、林少陽氏(東京大学)、陳継東氏(青山学院大学)、張志強氏(同上)、江ビ氏(首都師範大学)、何俊氏(杭州師範大学)、薛羽氏(上海人民出版社)、張鈺翰氏(上海人民出版社)が参加した。 (3)ワークショップ「誰も知らない香港現代思想史」:10月12日に明治大学で開催した研究会。香港現代思想研究の第一人者である羅永生氏(嶺南大学)を中心に、従来余り知られてこなかった香港現代思想の意義を東アジア的視座の下で討論した。研究メンバー以外の登壇者は池上善彦氏(元『現代思想』編集長)、マーク・ウィンチェスター氏(神田外語大学)、粟飯原文子氏(神奈川大学ほか)。 (4)ワークショップ「地域から考える東アジア」:中国における「辺境」概念を歴史的、思想的に検討した。研究メンバー以外の登壇者は、張志強氏(同上)中嶋久人氏(小金井市史編さん委員)、若林千代氏(沖縄大学)、根津荘史氏(歴史研究者)。明治大学での開催。11月28日。 (5)小特集「中国の〈いま〉と人文学―『開放時代』との対話を通じて」:『中国 社会と文化』第29号(2014年7月刊)に、本研究課題が2013年に行った『開放時代』東京会議をもとにした論文が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目に入った本研究は、中国現代思想史ナラティヴを日中相互における知の「絡み合い」の歴史として認識するという方向性がより具体的に展開した。これは、本研究課題の遂行の中で次第に明確化していった方向性であり、その意味で着実に研究が進んでいると評価できる。また、新しく羽根次郎氏が研究分担者に加わったことで、東アジアというより大きな地域的パースペクティヴの下で中国の現代思想を捉え直す手がかりを得ることができたのは、新しいアプローチであった。また、「現代中国思想史ナラティヴの構築」という本研究課題の中心的テーマに関しては、『中国 社会と文化』誌に小特集が掲載されたことで一定の具体的な成果を得ることができた。 以上の点について本研究課題は当初予定を超える成果をすでに上げていると評価されるが、一方で、ワークショップ「終わらぬ被災経験と人文学の役割:日中間対話を通じて」に招聘予定だった賀照田氏(中国社会科学院文学研究所)がビザ受給が不可能となり来日をキャンセルしたことで、当初予定されていた企画が十全なかたちで開催できなかった。このマイナス点を加味した上で、達成度を評価すると、「おおむね順調」とするのが相応しいと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はあますところ1年となった。本年度の研究活動をこの一年間の間に学術誌掲載やその他出版などのかたちで具体的な成果として残せるよう継続的に努力する必要がある。 また、翌年度は本研究課題の最終総括年度であると位置づけられるので、これまでに進めてきた研究を全体として振り返りながら、将来への展望を得たい。とりわけ、『開放時代』や中山大学と継続的に行ってきた共同研究をそうした総括に結びつけるべく、7月に中山大学にてシンポジウムを開催する予定である。 さらに、東アジア地域という視座を継続的に発展させていくことにより、現代中国思想史を一国中心史ではなく、日中相互間、ひいてはより大きな地域的ダイナミズムの中に位置づけることが、本研究課題がこれまでの研究により到達した重要なアプローチであると認識し、引き続きこの点を強化する。
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Causes of Carryover |
ワークショップ「終わらぬ被災経験と人文学の役割:日中間対話を通じて」に賀照田氏(中国社会科学院文学研究所)を招聘する予定でいたが、事情により直前にキャンセルとなったため滞在に係る費用が発生しなかった。その後、消耗品購入の必要が生じたため、最終的にこの金額が次年度使用額として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の推進に当たって必要な消耗品を購入する。
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Research Products
(21 results)