2013 Fiscal Year Annual Research Report
中世近世国文学における中国文学受容の研究ー和漢聯句と抄物を中心としてー
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24320048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 雅夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (80152172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 章義 京都大学, 文学研究科, 教授 (30131486)
森 眞理子 京都大学, 国際交流推進機構, 教授 (30230080)
金光 桂子 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30326243)
緑川 英樹 京都大学, 文学研究科, 准教授 (30382245)
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60291994)
宇佐美 文理 京都大学, 文学研究科, 教授 (70232808)
楊 昆鵬 関西学院大学, 言語教育センター, 講師 (60712180)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 和漢聯句 / 連歌 / 俳諧 / 漢文学 / 抄物 / 中世文学 |
Research Abstract |
江戸時代慶長・元和期の和漢聯句百韻の翻字、解読の研究会については、一週間に一度、研究分担者楊昆鵬と大谷および数名の大学院生を中心に実施し、すでに五十二の作品の翻字を完成させた。江戸初期の和漢聯句作品は現在知られているだけでそれに数倍する量があると考えられるので、この二年間の研究会の作業によっても、ほんの端緒を開いたというにすぎないが、それでも従来ほとんど研究のなかった分野であるので研究の基礎が固められたと言ってよい。こんご翻字の精度をたかめて『江戸初期和漢聯句作品集』として公刊することを目指したいと考えている。大谷は、同時に、和漢聯句と俳諧との関わりを追求すべく、芭蕉と素堂の和漢聯句「破風口に」歌仙の注釈の準備をはじめている。一方の抄物の研究については、黄山谷の詩の注釈である山谷抄を、研究分担者木田・大槻・金光・森・緑川・宇佐美および大谷と数名の大学院生を中心に、こちらは月に一度のペースで実施してきた。文字の不鮮明、漢文による注釈の難解を原因として翻字は期待したほどには進んでいないが、五山の僧侶たちの漢文学に対する知識の体系が少しずつではあるが解明されているという手応えは感じている。従来、抄物は国語学の資料として用いられることが多く、したがって極端には仮名の部分しか読んでこられなかったが、このように漢文による注釈の部分にむしろ焦点をあてて解読する作業を続けてきたことによって、中世の漢の教養のありかたが少しずつ明らかになってきたと感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
和漢聯句の研究会は順調に進み、予想していた以上に数多くの百韻の翻字を果たすことができた。現在五十二の作品の翻字が完成した。抄物の研究会も今年度は月に一度のペースで開催でき、山谷抄の最初の作品の解読をした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究分担者楊昆鵬が東京の武蔵野大学に転勤したので、和漢聯句の研究会は月に一度にせざるを得ない。その代わりに、京都大学の長谷川、熊本大学の竹島を新たに研究分担者として迎え、さらに内容の充実した研究会としたい。抄物の研究会は、月に一度の開催を続けて進捗させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各地図書館への調査に赴く段階になかなか入れず、交通費などの出費が少なかったため。 今手元にある和漢聯句の写真による翻字作業を早急にすすめ、なお調査の行き届かない図書館、資料館への出張を要する段階に歩を進めたい。
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