2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト太平洋戦争の「英米文学」研究―トランスパシフィックな文学的想像力と政治学
Project/Area Number |
24320055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
越智 博美 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (90251727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 玲一 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (70262920)
井上 間従文 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 准教授 (50511630)
吉原 ゆかり 筑波大学, 大学院・人文社会系, 准教授 (70249621)
齋藤 一 筑波大学, 大学院・人文社会系, 准教授 (20302341)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トランス・パシフィック・スタディーズ / 英米文学研究 / 英語青年 / 冷戦期 / 原子爆弾 / グローバル・ポピュラー・カルチャー / 沖縄現代詩 / クール・ジャパン |
Research Abstract |
全体として予定通りに進めた。戦後『英語青年』PDF化とその共有、University of Southern CaliforniaよりViet Thanh Nguyen氏招聘による筑波、一橋での講演会等を実現し、Trans Pacific(以下TP)な視座についての学問的意義を確認した。個々の成果は以下の通り。 越智は本課題を統括したほか、アメリカの冷戦期批評と日本の冷戦期の文学研究とTPの視点から結びつけ、また冷戦期ジェンダー配置を確認する議論を寄稿した。三浦は2冊の本を編纂、『文学研究のマニフェスト』では国際的地政学と文化概念の関係を整理したのち1990年代以降のグローバル化と日本の文化交渉の過程を調査し、纏めつつある。井上は、主に1945年以降のTP空間における政治と文学や映画との関連性をアメリカ、日本本土、沖縄を歴史的に結びつけて思考。沖縄県立図書館等で米軍統治期の文芸誌(『新沖縄文学』等)に関する調査・収集に基づき従来の研究が前景化しなかった詩、短歌、詩論などの特徴と意義を検討した。また1960年代~70年代に活動した詩人清田政信に関する論考を発表した。齋藤は、1945年以降、アメリカとTP関係を結んだ日本における英米文学研究の意義を考察するため、「核時代の英米文学」をテーマとして1)広島市の原爆死没者慰霊碑碑文の英訳が広島大学教授の雑賀忠義とアメリカのHarvard大学等の研究者との合同作業であることを踏まえ、碑文英訳の「主語論争」を再考、2)米軍占領期の『英語青年』(1945年7月号~1952年12月号)における「広島」「長崎」「原子爆弾」関連記事のリスト作成、3)戦後日本の代表的英文学者、福原麟太郎を軸に戦後の英文学者と原子爆弾やアメリカの関係を考察した。吉原は1)グローバル文化資本ShakespeareのTPに高級文化/低級文化の境界を越境した流通、2)日本支配下の朝鮮半島で英語教育を受け渡米した第一世代朝鮮系アメリカ人作家Younghill Kangの活動と作品の研究、3)Stanford大学で1945年以降の英語教育改革関係者の原稿調査、4)Y. KangとAnne of Gablesの著者Lucy MontgomeryとカナダのDalhousie Universityの英文学教育の関係を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、従来アメリカ発の視点にとどまりがちだった(ポスト)モダニズム文学と文学的想像力の批判的検討を目的とするが、リサーチをもとに、中間発表をおこない、平成25年度以降の手応えと目的を得たという点で、単に計画通りというのみならず、内容としても順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り進める。すなわち申請時の計画に沿って、海外研究者の招聘、必要なリサーチを遂行し、成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は代表者が校務に追われて出張を延期したぶん繰り越しが生じているが、その分を平成25年度のリサーチをより資料収集を充実させることとするほか、海外学会発表に回すこととする。
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Research Products
(20 results)