2014 Fiscal Year Annual Research Report
遷移確率に基づく第二言語処理能力発達理論構築のための基礎的研究
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24320105
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉浦 正利 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80216308)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遷移確率 / 言語処理能力 / 学習者コーパス / 視線計測 / 予測可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遷移確率(ある単語の次にどの単語が生起しやすいか)という概念を用いて、語彙・文法・コロケーションの習得過程を包括的にとらえ、第二言語処理能力の発達を説明する理論を構築するための基礎的研究を行うことを目的としている。 平成26年度は、学習者コーパスデータの追加収集とその分析、および、文法形態素と文構成要素に関する視線計測実験を行う計画であった。 まず、学習者コーパスのデータについては、昨年度確認した収集方法に従い、学習者データおよび英語母語話者データの追加収集を行った。前年度開発したオンラインで学習者コーパスデータを収集できるシステムの運用開始に向けて、データフォーマット、サーバー上のプログラム、データの収集手順を調整し、実際にオンラインでのデータ収集に利用できるようにシステムを公開した。これらのデータの収集作業と並行して、既存の学習者コーパスデータを使っての英語学習者データと英語母語話者データの分析作業を進め、2語から6語の連語表現における遷移確率を計算するプログラムを開発し、連語表現の頻度と遷移確率との関係の分析に着手した。昨年度と本年度で新規に収集したデータについても分析をはじめ、分析結果を確認中である。 視線計測実験については、文法形態素に関して三人称単数現在の「-s」に関する実験と、文構成要素に関して与格交代に関する実験を行いデータ収集をし分析中である。昨年度からすでに分析を始めている連語表現に関する実験は、前半部分の頻度効果に関する反応時間の分析結果を先にまとめ国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学習者コーパスデータの収集について、オンラインでのデータ収集プログラムの基幹部分は完成していたが、その運用方法に関し、本研究の代表者に限らず、他の研究者も独自にコーパスを構築できるような、より汎用性の高いオープンなシステムの方が望ましいと判断し、一部設計を途中で変更し、プログラムの修正およびサイトの整備に時間がかかったため、公開が予定より遅れ、研究協力者を募ってのデータ収集の開始を先延べすることとなった。 視線計測データの収集については、英語学習者のデータは十分収集できたが、英語母語話者のデータがまだ足りないため、全体の比較分析の開始が遅れている。米国メリーランド大学でのデータ収集も先方より許可をもらっていたが、最終的に双方のスケジュールが合わなくなってしまったため、データ収集を国内に限定せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
追加収集が必要なデータの量を決め、データ収集をはかる。特に英語母語話者データについて、海外からの新規短期留学生を中心に実験参加協力を依頼し必要なデータを収集する計画である。 データの分析方法の検討を先に行い、データが集まり次第、分析ができるようにする。また、部分的にでも、分析が行えるところから分析を行い結果を出していくようにする。
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Causes of Carryover |
英語母語話者データを米国メリーランド大学で収集する予定があったが、双方の日程の調整が合わなくなってしまったので、英語母語話者データ収集を国内に限定したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き本年度もデータ収集を継続し、追加収集が必要な英語母語話者データの収集にあてる。
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