2013 Fiscal Year Annual Research Report
中世における合戦の記憶をめぐる総合的研究―長篠の戦いを中心に―
Project/Area Number |
24320123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 拓 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (10302655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 修 茨城大学, 人文学部, 教授 (40334007)
谷口 央 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (90526435)
柳沢 昌紀 中京大学, 文学部, 教授 (60267896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 史料学 / 画像史料 / 合戦 / 記憶 / 歴史認識 |
Research Abstract |
本年度は、研究目的を達成するため、前年度にひきつづき、文献史料と画像史料のふたつの史料に力点を置いて調査を進めた。文献史料については、長篠の戦いに従軍した武士の末裔が作成した由緒書をまとめて伝来する史料群に対する調査と、長篠の戦いを中心とした戦国時代の合戦に関係する古文書を所蔵する機関への調査(写真撮影)を重点的におこなった。 文献史料については、徳島大学附属図書館における蜂須賀家家臣由緒書の調査、和歌山県文書館における紀伊徳川家家臣由緒書の調査をおこない、長篠の戦いを中心とした戦国合戦をめぐる従軍武士の記録について情報収集をおこなった。 また、米沢市上杉博物館における上杉家文書の調査、唐津市役所七山支所における小笠原文書の調査、熊本大学附属図書館における細川家文書の調査などをおこない、とくに小笠原家文書・細川家文書については写真撮影および料紙の紙質調査もおこない、長篠の戦いに関係した文書として重要な文書についての史料情報蓄積をはかった。 画像史料については、東京国立博物館所蔵長篠合戦図屏風下絵、豊田市郷土博物館所蔵長篠合戦図屏風の調査をおこなった。 5月に米沢市において研究会を開催し、ここまでの研究成果などについて、研究代表者金子および研究協力者阿部哲人が報告をおこない、研究成果の共有をはかった。 金子はさらに6月に上杉博物館において公開講演会「上杉氏にとっての長谷堂合戦の記憶」をおこない、研究成果の一部を広く一般市民に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた文献史料の調査先については、各年度に割り振り、それぞれ順調に調査を進めることができている。また長篠合戦図屏風の調査についても、全国に所在する合戦図屏風のうちあと一点を残すのみとなった。 いっぽう当初計画していた長篠の戦いの位置情報表示システムについての史料収集およびシステム構築が若干遅れているため、次年度以降重点的に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
文献史料、とくに由緒書の調査については、今年度・来年度に割り振り、調査を進めながら、これまでに蓄積した情報の総合についても取り組んでいきたい。 画像史料については、残された合戦図屏風の調査を進め、これまで調査してきた合戦図屏風との比較検討をおこない、とくに東京国立博物館所蔵長篠合戦図屏風下絵の成立過程を検討したい。 長篠の戦いに関する位置情報表示システムについて、新城市設楽原歴史資料館と協力しながら、各時代における長篠古戦場の地図を収集してそのデジタル化をおこない、階層的に表示するようなシステム構築を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査旅費について、参加人数および旅程の関係で若干の余剰分が出たため。 次年度の調査のための旅費に繰り入れて執行する予定。
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Research Products
(17 results)