2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代宮都周辺域における手工業生産の分野横断的比較研究
Project/Area Number |
24320156
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 照彦 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10249906)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市 大樹 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00343004)
中久保 辰夫 大阪大学, 文学研究科, 助教 (30609483)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 日本古代 / 手工業 / 須恵器 / 瓦 / 緑釉陶器 / 織物 / 金属器 / 銅生産 |
Research Abstract |
本研究の第1の柱として、各種分野を専門とする研究者により、分野横断的に日本古代の手工業生産を検討する研究会を開催した。その第1回(5月28日)は、各分野の研究現状を持ち寄り、今後の方針を討議した。第2回目(8月24日)には、染織・紡織を取り上げ、考古学から東村純子氏、美術史から田中陽子氏を迎え、第3回目(12月26日)には、銅製品や銅生産をテーマにして、考古学から中川あや氏・田中由理氏、文献史学から竹内亮氏に発表をお願いした。第4回(3月6日)は、別の研究会との合同開催の形を採ったが、美術史の藤岡穣氏、考古学の奥村茂輝氏、文献史学の吉川真司氏により、手工業生産の検討の上でも重要な寺院をめぐる諸問題を扱った。いずれの会においても、分野を越えた研究の成果が提示され、研究分担者の市大樹氏、中久保辰夫氏、連携研究者の清水昭博氏、中川あや氏、田中由理氏、吉野秋二氏をはじめとする参加者により議論を深めることができた。各テーマでの会の継続により、網羅的な比較検討の下地となるため、意義も小さくないと考えている。 本研究の第2の柱である現地調査については、平安京近郊の大窯跡群である篠窯跡群(京都府亀岡市)を対象に実施した。篠窯では10世紀末から11世紀にかけて、須恵器や緑紬陶器の生産が衰退し、瓦生産へ移行する大きな画期であるが、当該期の窯の発掘はなされていない。そこで、西山1号窯を調査対象に選定し、窯周辺の地形を測量するとともに、遺物の表面採集を試みた。また、ボーリング調査により灰原の範囲も確認した。調査期間は2013年2月19日から26日である。その結果、西山1号窯が上記の課題を考える上で重要な窯であることが確認でき、次年度への本格的発掘調査への準備とすることができた。 このほか、化学分析的研究として齋藤努氏、白石純氏の協力を仰ぎ、色彩学的検討などについては学会発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における2つの柱となる活動のうちの1つとして、考古学・文献史学・美術史などの分野を越えた研究者が協業して議論する研究会を継続開催し、金属製品や織物生産などに関して検討を行うことができ、もう1つの柱である時期・地域を限定した重点的な調査として、篠窯跡群でのフィールド調査を行い、測量・ボーリング・遺物表面採集などの調査を行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題共有的な現地調査として、平成24年度に測量や遺物表面採集などの調査を行った篠窯跡群において、磁気探査ならびに発掘を含んだフィールド調査を行うことにしている。また、やはり平成24年度からの継続的な活動として行う分野横断的な研究会として、これまで取り上げなかった玉・ガラス製品や、屋根瓦、陶磁器類などをテーマに取り上げて、年に3回程度開催することを予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、現地でのフィールド調査として磁気探査なども試みることを考えていたが、期間的な調整により次年度に繰り越すことになり、あわせて次年度は本格的な発掘調査を行う予定であるため、それらにかなりの費用が必要となる。また、分野横断的な研究会としては、平成24年度は内部の固定メンバーによる発表・討議を中心としたが、次年度は外部研究者を招くために、より多くの旅費や謝金などが要することになる予定である。
|
Research Products
(27 results)