2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24320174
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関根 久雄 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60283462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小國 和子 日本福祉大学, 国際福祉開発学部, 准教授 (20513568)
内藤 順子 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (50567295)
白川 千尋 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (60319994)
藤掛 洋子 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 教授 (70385128)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 開発 / 感情 / 開発人類学 / 開発援助 / リアリティ |
Research Abstract |
関根久雄(研究代表者)はソロモン諸島において青年海外協力隊の支援活動に注目し、現地の地域性が隊員の感情の変化に及ぼす影響についての聞き取り調査をおこなった。同様の調査は、東京で帰国直後の協力隊員に対してもおこない、必要なデータ収集に努めた。 白川千尋(研究分担者)は、当初の計画通り、ミクロネシア連邦のポンペイ島で、JICAシニアボランティア2名に対する聞き取りや活動の視察などを行った。その結果、得ることのできた彼らの活動と感情の関係に関する知見は、前年度の調査で得た青年海外協力隊員の事例と比較する上で有意義なものである。 小國和子(研究分担者)は、インドネシア南スラウェシ州の「伝統的な」灌漑開発の歴史と、その後の経済社会的変化を踏まえ、農村の現状を確認し、今後の可能性を検討する目的で、調査者自らのコミットメントも考察対象として、関係者間の情報共有、信頼構築などのプロセスに着眼した調査をおこなった。 内藤順子(研究分担者)は、メキシコ・シティのスラムにある骸骨聖母を祀る祠の観光化について現地調査を実施した。現状では「信者」以外は観光目的地化していないものの、3万人を超える需要があるため、当該スラム地区の有力者が自主的に受け入れ態勢を検討していることが分かった。 藤掛洋子(研究分担者)は、パラグアイ農村部における学校建設プロジェクトを調査し、プロジェクトに関わる現地住民の旧グループと新グループの間で情報格差が生まれ分裂が始まっていることが確認された。 2013年6月には日本文化人類学会研究大会で、同年11月には国際開発学会全国大会で本研究課題に関わる企画セッションを組織し、感情の側面から開発プロジェクトを捉える人類学的アプローチの可能性を示したことは、人類学、開発学双方の研究者に対し、一定の意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究分担者がそれぞれの研究調査地に2012年度、2013年度に赴き、継続的な調査を実施し、その成果として本年度には日本文化人類学会および国際開発学会の研究大会で本研究課題に関連した企画したセッションを組織することができた。また、次年度には、本研究課題に関心を寄せる他の研究者を交えた出版企画も進行中であり、人類学および開発学に対し一定の貢献を果たしてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者および研究分担者がそれぞれの研究調査地における現地調査を継続すると共に、開発実践活動を理解し、必要な人類学的実践活動を導くための分析枠組みを確立させるため、本研究課題メンバーによる総括的な研究会をより多く開催し、必要に応じて関連研究者も交えた議論の場を設定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に実施した海外調査において、日本国内における記録的大雪(2月)の影響で出発日の変更を余儀なくなれ、それに伴い調査期間の短縮を余儀なくされたこと、当初想定したよりも航空券が安価であったことによって生じたものである。 今年度はその未使用額を研究代表者および分担者の海外調査費用(補充調査費用)の一部として充当する。
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