2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ旧社会主義国の人権に対するヨーロッパ人権裁判所のインパクトに関する研究
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24330004
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
伊藤 知義 中央大学, 法務研究科, 教授 (00151522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 優 北星学園大学, 経済学部, 教授 (00196396)
阿曽 正浩 北見工業大学, 工学部, 准教授 (00221721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 欧州人権裁判所 / ロシア / ロシア憲法裁判所 / 監督審 / 信教の自由 / 不動産善意取得 / ヨーロッパ評議会 / マスメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年8月7日~8日に、第3回目の研究会を北星学園大学で開催した。杉浦一孝「ロシア連邦の監督審制度とヨーロッパ人権裁判所」、佐藤史人「近年のロシア連邦憲法裁『改革』構想―マルキン事件以後の展開」、武井寛「ロシアにおける社会的給付その他をめぐる裁判と欧州人権裁判所」、伊藤知義「ロシアの不動産善意取得をめぐる欧州人権裁判所判決」の4報告がなされた。これらをめぐって2日間にわたり質疑・応答をした後、今後の研究計画についても意見を交換した。 平成26年3月18日~19日に、第4回目の研究会を中央大学で開催した。Ibragimov Bunyodbek「ロシアにおける信教の自由と欧州人権裁判所」、渋谷謙次郎「チェチェン戦争と欧州人権裁判所」、樹神成「ヨーロッパ評議会からみたロシア司法改革の評価‐The honouring of obligations and commitments by the Russian Federationを中心に」、阿曽正浩「ロシアにおけるマスメディアの自由と欧州人権裁判所」の4報告がなされた。これらをめぐって2日間にわたり質疑・応答をした後、平成26年度に行う国外調査について行き先、行く時期等に関して意見を交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究対象国のうち、ロシアを中心として、裁判制度、社会法、民法、民族問題、信教の自由、マスメディア等の問題について、どのような事例が欧州人権裁判所に提起されているか、欧州人権裁判所の判決がロシアにおける立法や裁判実務にどのような影響を与えているかについて、具体的な事実関係を含めて詳細な紹介がされ、欧州人権裁判所判決がロシアの法実務に一定程度の影響を与えていることが明らかになった。さらに、ストラスブールにある欧州人権裁判所の実務家たちが、ロシアについてどのような考えを有し、どのように対応しているかについても報告がなされた。諸般の事情により延期された海外現地調査を来年度に行う際の方向性もより明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
ロシアに赴き、ロシアの憲法裁判所、最高裁判所の裁判官のほか、欧州人権裁判所で裁判官をしていた者、モスクワ法アカデミーの研究者、弁護士等にインタビューを行い、国内研究会において把握、理解した事柄を確認するとともに、現地の研究者・実務家の意見を聴取し、さらに意見交換を行う。これとは別に、欧州人権裁判所のあるストラスブールにも行って、裁判官や事務局関係者と面談し、欧州人権裁判所とロシアの関係について調査を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年3月、ロシア語、ポーランド語で調査を行う専門的知識を有する連携研究者および研究協力者複数が所属研究機関の都合により、海外調査に参画できなくなった。来年度の授業等のため、海外調査ができるようになるのは翌年同時期であり、1年の期間を要した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度において、海外調査を行うのに予算を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)