2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ旧社会主義国の人権に対するヨーロッパ人権裁判所のインパクトに関する研究
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24330004
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
伊藤 知義 中央大学, 法務研究科, 教授 (00151522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 優 北星学園大学, 経済学部, 教授 (00196396)
阿曽 正浩 北見工業大学, 工学部, 准教授 (00221721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 欧州人権裁判所 / 欧州評議会 / ロシア / 憲法裁判所 / ベニス委員会 / 監督審 / 再審 / 判決執行遅延 |
Outline of Annual Research Achievements |
連携研究者の樹神成教授が平成27年2月9日から12日までストラスブールにおいて調査を行った。欧州人権裁判所判決執行部、欧州人権裁判所事務局のポラケヴィツ氏、ベニス委員会、欧州人権裁判所ドイツ選出裁判官等とインタビューし、ロシア連邦の欧州評議会の加盟に対する評価、欧州人権裁判所判決のロシア連邦法への影響、欧州評議会・欧州事件裁判所からみたロシアの法律家、ロシア連邦からの提訴が多数であることとその減少傾向、その他の論点について調査して意見を交換した。調査からえた暫定的評価によれば、今回の調査での最大の成果は、欧州評議会加盟・欧州人権条約署名批准の現代ロシア法への影響は、「まだら」だということである。ただし、改革が進んだといわれている分野でもその意味を慎重に評価する必要があろう。したがって、どのような分野で影響が大きく、どのような分野でそうでないか、分析する必要がある。また、実際に改革をロシア連邦で担当した人に改革の実際を聞く必要がある。なお、ロシア連邦を他国と比較して例外的に問題のある国であるという評価はなかった。したがって、文化論からロシア連邦を特別視して研究を進めることは、適当でないと考える。 分担研究者である篠田、阿曽両教授、連携研究者である武井教授、その他の研究協力者が平成27年2月22日から3月6日までモスクワおよびサンクト・ペテルブルグを訪れて調査を行った。コヴレル元人権裁判所裁判官、ロシア連邦憲法裁判所・カザンツェフ裁判官、サンクト・ペテルブルグ大学ベローフ准教授、フィラトヴァ・憲法裁モスクワ代表部副代表、クニャズキン弁護士、モスクワ国立法アカデミー・ロシュコーヴァ教授などとインタビューをおこなった。人権裁判所のロシアへの影響、監督審、再審事由としての人権裁判所判決、判決の執行問題等について、各専門家の見解を聴取し、意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欧州人権裁判所所在地のストラスブール、本研究の中心的位置を占めるロシアのモスクワおよびサンクト・ペテルブルグにおいて、現地調査を行い、国内研究会において文献資料によって行ってきた研究内容を確認するとともに、本テーマに関して実際に日々携わっている研究者、実務家の意見を知ることにより、研究目的を達成するのに必要な情報が相当程度集まりつつある。これをもとに、来年度さらに現地調査を継続して、私たちの仮説がどの程度説得力を持っているのかについて検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度5月に国内研究会を開き、ストラスブールおよびロシアにおける現地調査で収集してきたインタビュー内容を各担当者が報告し、意見交換を行う。さらに、その成果に基づき、より詳細な検討が必要な問題点を明らかにするために、最終年度の今年度に再び海外調査を行う。それを受けて、今年度末までに再び国内研究会を開催し、研究成果を取り纏め、これを発表する手順等について議論する。
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Causes of Carryover |
海外調査に要した費用が予想より少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の海外調査に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)