2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ旧社会主義国の人権に対するヨーロッパ人権裁判所のインパクトに関する研究
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24330004
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
伊藤 知義 中央大学, 法務研究科, 教授 (00151522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 優 北星学園大学, 経済学部, 教授 (00196396)
阿曽 正浩 北見工業大学, 工学部, 准教授 (00221721)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 欧州人権裁判所 / ロシア憲法裁判所 / 判決の未執行 / 欧州人権条約 / 裁判統制 / 裁判官の選任 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年11月に連携研究者の1人がロシア調査を行った。「欧州人権裁判所判決執行からみた現代ロシア法」というテーマで事前に質問票を作成した上で、欧州人権裁判所の裁判官・前裁判官(クニャーゼフ、コブレル)のほか、欧州人権裁判所やロシア憲法裁判所の職員、ロシアの弁護士などとインタビューした。ロシア連邦における判決の執行状況と類型、最終決定に至ったものと最終決定に至らないものが多い原因、憲法裁判所が現在のロシアにおいて果たしている役割、一般措置のメカニズム(パイロット判決を含む)とロシアにおける大統領府、司法省、連邦議会法保護機関(国内判決の未執行、監督審、法保護機関等の活動の実務改革等)、欧州人権裁判所判決と憲法裁判所・最高裁判所の関係、欧州人権条約と加盟国憲法、2015年7月ロシア憲法裁判所決定の意味、ロシア連邦憲法裁判所による(相互)妥協必要論、マルキン判決以 後・ユコス関係判決以後のロシア国内の雰囲気、現ロシア憲法裁判所の出生に関わる「トラウマ」、ロシア憲法裁判所への期待と失望等の問題につき、インタビューしながら、情報を収集しつつ、若干の議論を行った。 他の分担研究者、連携研究者は文献調査に基づく研究を引き続き進めた。ロシア連邦における裁判統制と刑事監督審制度、ロシアにおける通常裁判所の裁判官の選任過程、ヨーロッパ人権裁判所とロシア憲法裁判所との協調と対立、といった点について、成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者、研究連携者はそれぞれ海外調査に赴いたり、文献調査に基づく論文発表などを行って活発に成果を挙げているが、研究代表者は、2015年度の最後数ヶ月に長期間入院し病気療養をせざるを得なかったため、研究課題について本来の想定通りに進捗させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、ある程度健康も回復したので、延長していただいた最後の研究年度において、旧ユーゴスラビアを中心とした各地域において、欧州人権裁判所との関係がどうなっているか、どのような紛争が対象になっているか、欧州人権裁判所の判決を実際にどの程度受け入れているのか、国内裁判所との関係でどのような問題が生じているか、特に東方正教会の影響の強い国において、カトリック・プロテスタントの系列を引く現在の西欧法を受容することに対して抵抗はないのか、EU未加盟国においてEU加盟との関係で欧州人権裁判所はどのような意味を持つのか、といった点について、セルビア、クロアチア、マケドニア、ブルガリア、ボスニアなどに調査出張を行う計画である。研究分担者、研究連携者が行ってきた研究と代表者が今年度行う調査および研究とを総まとめして、この研究課題に対する一定の結論を得るために、年度中に1度ないし2度の国内研究会を開催する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度の後半において、研究代表者が病気になり、40日の入院を経て、年度末の3月までなお通院・加療が必要だと診断され、研究計画を遂行できなかったため、本来予定していた計画内容を平成28年度に延長したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者は、ある程度健康も回復したので、今後の研究推進方策の箇所で記したように、旧ユーゴスラビアを中心とした各地域において、欧州人権裁判所との関係がどうなっているか、どのような紛争が対象になっているか、といった点について、セルビア、クロアチア、マケドニア、ブルガリア、ボスニアなどに調査出張を行う計画であり、それらの旅費に支出する。研究分担者、研究連携者が行ってきた研究と代表者が今年度行う調査および研究とを総まとめして、この研究課題に対する一定の結論を得るために、年度中に1度ないし2度の国内研究会を開催するための旅費も計上する。研究の最後のまとめに必要な機器類も購入する予定である。
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Research Products
(8 results)