Research Abstract |
これまで新たな証拠収集手段として挙げられている主なものは,(1)取調べ以外のかたちでの供述獲得を容易にする手法,(2)供述以外の客観的な証拠を収集するための手法,(3)その他の手法に分類できる。(1)にあたるものとしては,司法取引,刑事免責,犯罪事実について自白ないし供述をしたことを有利な量刑事情とする明文規定を置く制度等がある。(2)にあたるものとしては,通信傍受,室内会話の傍受,罰則付きの捜査関係事項照会制度や提出命令,ラスター捜査等が挙げられる。最後の(3)にあたるものは多様であるが,おとり捜査や潜入捜査のほか,参考人への出頭の義務付け,DNA型データベース,監視カメラなどが挙げられる。 初年度にあたる平成24年度は,この3つの類型につき,それぞれに担当者を決めたうえで,諸外国の制度の文献調査を通じて,上記のものを含めて,どのような手段があるのか,そして,それぞれの手段につき,それをわが国に導入するとした場合にいかなる法的な問題点があるのかを洗い出す作業を行った。 同時に,研究分担者である井上,酒巻,川出の3名は,法制審議会新たな刑事司法制度特別部会に,委員,幹事として所属していることから,定期的に開催した研究会において,部会での議論を紹介するとともに,そこで取り上げられているテーマにつき,意見交換を行った。 さらに,最初の海外調査として,平成24年9月5日から8日まで,韓国のソウル大学,国立警察大学,ソンパ警察署,刑事政策研究院,大法院を訪問し,取調べと新たな捜査手段について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法制審議会における議論の検討と並行するかたちで,個別の証拠収集手段についての検討を進め,概ね問題点は抽出できた。また,元々は,平成25年度に予定していた海外調査についても,韓国について,早期に実施することができた。
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