2013 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代のシティズンシップ―日本における「民」の再定義に向けて―
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24330050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
遠藤 乾 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柄谷 利恵子 関西大学, 政策創造学部, 教授 (70325546)
安里 和晃 京都大学, 大学院文学研究科, 特定准教授 (00465957)
明石 純一 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30400617)
辻 康夫 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20197685)
眞壁 仁 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (30311898)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シティズンシップ / グローバル化 / 民 / ナショナリティ / 市民 / 国民 / 移民 |
Research Abstract |
本研究の目的は、グローバル化時代における「民」のあり方を再検討することにある。具体的には、国民、市民、庶民、移民等のあり方をシティズンシップ概念と実践との関連で構成し直し、米欧東アジア諸国の国際的な動向に照らして、日本の土壌に再定位することを目指している。これは、代表者がこれまで取り組んできたグローバル・ガバナンスやEU の研究をさらに発展させ、チームの中で経験的知見と思想的考察をつなぎ合わせながら、日本における「民」のあり方の再考へ接続する(国際)政治学的な試みとなる。 初年度のプロジェクトインフラ構築に引き続き、本年度は基本的問題枠組と発見的・探索的論点の共有を図りながら、論点の深堀りに努めた。とくに今年度に力を入れたのは、「市民」「市民権」「シティズンシップ」概念の再検討である。 具体的にいえば、9月の日本政治学会(および慶応大学ヨーロッパ研究会)において、計画通り、クリスチャン・ヨプケ教授をベルン大学から招聘し、科研メンバーとともに、現代のシティズンシップについて、理念・実践両面にわたり討議した。 さらにヨプケ教授の主著Citizenship and Immigrationの翻訳を完成し、岩波書店から『軽いシティズンシップ―市民、外国人、リベラリズムのゆくえ』(翻訳者:報告者本人、佐藤崇子、井口保宏、宮井健志)を公刊し、上記ワークショップ等で議論を深め、日本の読者に問題提起を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の立ち上げにつづき、研究責任者・分担者・協力者とともに海外から招聘したクリスチャン・ヨプケ氏と綿密に討議を行い、理論枠組みを咀嚼したうえ、問題関心の共有を深めた。また、プロジェクト全体として、グローバル化時代のシティズンシップ研究に関わる内外の文献を幅広く渉猟し、そのなかでもヨプケ氏の主著につき翻訳書を公刊できたことが何よりに成果といえよう。 今後は若手の関係研究者にも参画してもらい、外国との交流・人的ネットワーク形成をさらに推進したい。具体的には、すでに密に交流しているC. Joppke(スイス・ベルン大学教授)と引き続き共同研究に従事するほか、R. Baubeck(イタリア・欧州大学院大学)、Carlos Closa(スペイン・西マドリッド科学研究上級評議会)との接触を深めるつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
メンバーは各方面で活躍する第一人者で、研究会合等のスケジューリングが常に頭痛の種である。そのなかで、夏をめどにワークショップを開催し、より理念的に、シティズンシップということばが日本語になじまず、それをどのように土着化していくのかを課題として、思考を重ねてゆきたい。また調査の対象をヨーロッパだけでなく、アメリカやアジアにも拡大し、さらに精力的に研究を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費残額が生じたのは、今年度準備を進めたアメリカへの調査出張が次年度に控え、さらに夏にはワークショップも開催することを念頭に、経費の節減・効率的使用を図ったことによる。 平成26年度は特に全体会合での調査研究の共有と深化、現地調査と発表、国際ハブ形成・ワークショップの開催を試みたいと考えており、残額はそのために使用する。
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