2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本の第一次世界大戦経験の全体像の解明―未公開新史料を活用した学際的分析
Project/Area Number |
24330052
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
小林 道彦 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (80211910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良岡 聰智 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90378505)
西田 敏宏 椙山女学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90362566)
森 靖夫 同志社大学, 法学部, 助教 (50512258)
C・W・A Szpilman 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (00412461)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外交史 / 国際関係史 / 第一次世界大戦 / 外務省 |
Research Abstract |
本研究は、独自に発掘した未公開の新史料群を活用して、日本の第一次世界大戦経験の全体像を明らかにすることを目的とするものである。今年度も、研究実施計画に沿って、着実に研究実績を重ねることができた。研究実績の概要は、以下のとおりである。 ①未公開の新史料群の整理・分析:今年度は、「岡部長景関係文書」の整理および仮目録作成を進めた。同文書中特に資料的価値が高いと思われる回顧録については、翻刻出版の準備に着手し、翻刻作業の開始、出版元との交渉を開始した。 ②国内・海外における資料調査の実施:昨年度に引き続き、国内外の文書館を幅広く調査して、本研究課題に関係する原史料を収集した。今年度は、国内においては、国立国会図書館憲政資料室、防衛省防衛研究所図書館、外務省外交史料館などにおいて調査を実施した。海外においては、台湾の中央研究院において調査を実施した。 ③実証研究の深化:上記で収集した史料を新たに分析対象に加えながら、前年度に引き続き、各分担者において、個別の実証研究の深化を図った。小林は、第一次世界大戦期の政軍関係についての論文を執筆するとともに、第一次世界大戦期を含む、内政・外交をまたく政治的危機への対応を考察する論文集の編集を進めた(いずれも来年度に公刊予定)。スピルマンは、鹿子木員信を中心として、第一次世界大戦後のアジア主義について分析を進め、論文を公表した。奈良岡は、日本の第一次世界大戦への参戦外交、二十一ヵ条要求をめぐる外交交渉を、当時の世論の動向をも踏まえて分析し、論文を公表した。森は、石原莞爾や関東軍に焦点を当てつつ、第一次世界大戦後の陸軍について論文発表や学会報告を行った。 ④定例研究会の開催:各分担者による資料調査の成果を共有するとともに、連携しながら個別研究を進めるために、京都などにおいて合計4回の研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「平成25年度科学研究費助成事業交付申請書」に記載した研究実施計画に照らし、おおむね順調に進展していると評価できる。 まず、①新史料群の整理・分析については、昨年度までに完了した「内田康哉関係文書」に引き続き、「岡部長景関係文書」の整理に着手し、重要史料の出版準備にも着手できた。 ②国内・海外における資料調査については、国内の各機関における資料調査を円滑に進めることができた。海外調査は、当初予定していたアメリカでの調査は、スケジュールの問題から来年度に実施することにしたが、代わって台湾の中央研究院で調査を実施することができた。また、③実証研究の深化については、各分担者において、第一次世界大戦期の外務省、陸軍、思想、世論について考察した学術論文を公表することができた。 来年度も引き続き研究実績の着実な公表に努めていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果の上に立ちながら、来年度も着実に研究成果を挙げていきたい。 ①今年度は、未公開の新史料群のうち、「岡部長景関係文書」の仮目録作成を進めるとともに、同文書中特に資料的価値が高いと思われる回顧録の翻刻出版の準備に着手する。 ②来年度が本プロジェクトの最終年度であることに鑑み、本研究の成果を、国内外の学会で積極的に公表することにする。国内においては、東アジア近代史学会の国際シンポジウム、日本国際政治学会の部会において、研究分担者が研究報告を行う。海外においては、EAJS(European Association of Japanese Studies)、ボーフム大学の国際シンポジウム、ベルリン独日協会の講演会において、研究分担者が研究報告・公演を行う予定である。 ③この他、個別の実証研究の成果も、引き続き積極的に公表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
森分担金については、研究協力者(高橋)使用分として確保していた額が、協力者の本務多忙のため十分に執行できなかったため、次年度使用額として持ち越すこととした。スピルマン分担金については、次年度国際学会への参加予定があり、多くの旅費支出が見込まれるため、次年度に持ち越すこととした。 森分担金については、今年度に予定していた書籍など物品費として使用する計画である。スピルマン分担金については、旅費として使用する計画である。
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Research Products
(10 results)