2012 Fiscal Year Annual Research Report
インドの大国化戦略-安全保障、エネルギー外交、在外インド人の観点から
Project/Area Number |
24330054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
広瀬 崇子 専修大学, 法学部, 教授 (20119431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 融 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (50403465)
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (00365694)
横尾 健 (財)電力中央研究所, 企画グループ, 参事 (40371372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド / 大国化 / 安全保障 / エネルギー / 電力 / ディアスポラ / 南アジア / 原子力 |
Research Abstract |
初年度は、第1にテーマの3つの分野における重点項目を絞り、問題の所在を確認して、研究分担者、協力者の間で認識を共有することを目指した。そのため、4回の研究会を開催し、エネルギー、安全保障問題を中心に報告に基づく討論を行った。その際、中国との比較が重要な視点とされたため、中国研究者を招いて報告を聞き、討論を行った。また、インドの「大国化」を前提として捉えること自体を再吟味する必要があるとの意見も強く、より客観的データに基づく分析を行うこととした。 第2に、エネルギーと在外インド人に関して、インドとマレーシアでそれぞれ現地調査を行った。エネルギーについてはインドの研究所、大学、役所関係を中心に聴き取りを行い、インドのエネルギー問題、特に電力問題の実態把握に努めた。また、元石油・天然ガス大臣へのインタビューを通して、エネルギー資源問題および政府の政策の課題への理解を深めた。さらに原子力問題では、インドの現状と課題について意見交換を行った。在外インド人についての聞き取りでは、マレーシアのインド人組織指導者へのインタビューを通じて、マレーシア政治とインド人社会の問題を考察した。なお、在外インド人の役割については、在住国によって事情は大きくことなり、「大国化」に必ずしも貢献するものではないことも明らかとなった。今後はいくつかの指標を設けて、分類を行う。 第3に、安全保障に関しては、インドの国防力増強を特に中国との比較を通じて分析した。中国の国防力増強が近隣諸国のみならずグローバルに脅威を与えているのに対し、インドの「大国化」は目下のところ歓迎される傾向が強いが、インドの国防力増強は実際に「大国化」と言われる規模のものであるのか、またその方向はどこに向いているのか、などについて多くの観点が示された。今後はそれらを整理して、結論に導く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドのエネルギー問題の基本的課題を確認できた。また、現地の関係者との有意義な意見交換ができ、人的関係も築けたため、今後の研究推進への足掛かりができた。ディアスポラについては、アメリカやカナダなどの先進国での調査との比較の課題が残った。また、安全保障分野での中国との比較という重要な視点を導入した。 研究分担者、協力者との間で基本的な枠組みと認識が共有できたことは今後の研究にとって大きな成果であった。 ただ、資料分析がまだ十分でないため、より体系的な資料整理と分析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギーに関しては、国内政治、外交政策との関係を分析する。そのために、経済学的なアプローチも研究協力者を通じて導入する。ディアスポラは米加英などの先進国のディアスポラの役割とアジア諸国のそれとを相対化していく。安全保障問題は国防力に加えて、対外関係を考察する。さらに、3つの分野がどのような相関関係を持つかを考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究を遂行する上で、現地調査は不可欠である。エネルギー分野では、インドのデリーと州を特定して電力状況を実地調査する。ディアスポラ関係では、アメリカなどでの現地調査が必要である。安全保障は中国との比較が必要であるため、中国での意見交換を行う。資料整理がまだ不十分であるため、研究補助員を活用して、資料の整理を行う。H24年度にインドの原子力発電所の視察を行う予定であったが、手続きに時間がかかり、H25年度以降に持越しとなった。そのため、出張費を繰り越した。
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Research Products
(8 results)