2013 Fiscal Year Annual Research Report
インドの大国化戦略-安全保障、エネルギー外交、在外インド人の観点から
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24330054
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
広瀬 崇子 専修大学, 法学部, 教授 (20119431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 融 防衛大学校, 人文社会科学群, 准教授 (50403465)
北川 将之 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (00365694)
横尾 健 一般財団法人電力中央研究所, 企画グループ, 参事 (40371372)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド / エネルギー問題 / 安全保障 / 国際研究者交流 インド / 電力 / グジャラート |
Research Abstract |
二年度はエネルギー問題を軸に他の2本の柱(安全保障、在外インド人)をここに関連付けるべく検討を行った。4回の研究会で、まずはエネルギー安全保障をインドではどのように定義づけているか、それはどのような概念か、いかなる領域をカバーしているかなどを検討した。また安全保障、在外インド人の問題をエネルギー安全保障との関連でどうとらえるかの議論を行った。安全保障はエネルギーとの関連での位置づけが比較的容易であるが、在外インド人の場合は多少無理があるかもしれないとの結論に達した。 第2に、エネルギー問題の中でも電力問題が最も重要であるとの認識から、インドの電力問題の研究を進めた。経済学専攻の研究協力者にインドの電力事情についての研究報告をお願いし、それを基に議論を行った。その上で、現地調査を通じた現状把握に努めた。インドの電力政策で最も成功した例としてグジャラート州の調査を行った。同州にある2か所の民間火力発電所を訪問して視察および聞き取り調査を行った。また規制庁、配電会社も訪問し、関係者に聞き取り調査を行った。また研究代表者はオリッサ州でも同州エネルギー大臣、配電会社の幹部にインタビューを行い、同州の電力事情の調査を行った。 以上の現地調査、研究報告会での議論を通して、電力問題の複雑さに関する認識を共有するに至り、その結果、本研究は、本年度は電力問題を軸に進めていくこととし、各自の役割の再定義を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成度としては第2年度は現地調査を含め、また新たな協力者の参加を得て、ほぼ当初の計画通りの成果を上げたと考えている。ただし、研究を進めていく過程で多少方向が変わってきている。当初は3本の柱、すなわち、エネルギー政策、安全保障、在外インド人の活動、を同列に扱い、3方向からインドの大国化戦略を分析する予定であったが、研究を進めていく過程で、エネルギー問題を軸にして、他の2つの要素はそれとの関連でとらえる、例えば安全保障ならばシーレーンの安全、あるいはエネルギー安全保障の概念など、エネルギーとの関連でとらえていくこととした。その点、当初の計画とは多少変わってきているが、それは研究を進める上で得た知見に基づくものであり、前進ととらえている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたように、当初の研究計画に多少の変更を加え、エネルギー安全保障問題を中心に今後は研究を進める。中でも電力問題に焦点を絞り、インドにとってエネルギー安全保障とは何を意味するか、科学技術の観点から地球温暖化問題、エネルギー効率、再生可能エネルギーのコストなどをおさえた上で、インドの電力改革の実態調査をいくつかの州に絞って行う。その際単純にエネルギーの需給関係、電化率のみを扱うのではなく、それぞれの州がその実態や社会構造との関係で、ベストミックスを決定したり、いかなる独自の方策を講じているかを分析する。 次年度(平成26年度)は、農村などで小規模発電や再生可能エネルギーなど、土地の実態に即した発電をどのように行っているかを調査する予定である。また、執筆計画を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた研究分担者1名の海外出張ができなかったため。 H25年度に実行できなかった研究分担者の海外出張に使用予定。
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