2013 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害リスク下における産業集積の「負の供給ショック」に関する実証研究
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24330073
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳永 澄憲 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10150624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
氷鉋 揚四郎 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90189762)
阿久根 優子 麗澤大学, 経済学部, 准教授 (90363952)
各務 和彦 千葉大学, 法経学部, 准教授 (00456005)
國光 洋二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所農村基盤研究領域, 研究員 (30360390)
石川 良文 南山大学, 総合政策学部, 教授 (20329577)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 新産業集積 / 負の供給ショック / 新経済地理学モデル / 空間応用一般均衡モデル |
Research Abstract |
産業集積は地域経済に対して「正の外部性」をもたらすことが一般的に知られているが、逆に、東日本大震災やタイの大洪水等の自然災害が発生した場合には、サプライチェンの寸断が生じ、当該地域だけでなく全国の生産活動に影響を与え、すなわち、自然災害により産業集積がかえって地域経済及びグローバル経済に対して多大な「負の供給ショック」を与えることになることも知られている。そこで、平成25年度は、昨年度の成果を踏まえて、総括の徳永と研究分担者の氷鉋教授、國光研究員、石川教授、阿久根准教授及び研究協力者の沖山研究員(筑波大学研究員)が中心となり研究会を組織し、我が国東北地方の現地調査の結果を踏まえて、2005年の被災地域3県とその他地域の社会会計表(SAM)を作成するとともに、3地域の空間応用一般均衡(SCGE)モデルを構築し、東日本大震災による負の供給ショックのシミュレーション分析を行い、これらの分析結果について相互に意見交換を行いながら研究を進めた。さらに、総括の徳永と分担者の石川教授と阿久根准教授、研究協力者の沖山研究員で、東日本大震災からの復興および地域再生に対して、新産業集積の形成、特に、自動車および漁業・水産加工の産業クラスターの形成が寄与することをシミュレーション分析により解明した。これらの研究成果は、International Regional Science ConferenceであるPRSCO(環太平洋地域科学研究機構年次大会)や北米地域学会(NARSC)、日本地域学会、応用地域学会、日本経済学会、及び農業経済学会などで報告を行い、多大な好評を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度で計画した研究をおおむね実施することができた。総括の徳永と研究分担者の氷鉋教授、國光研究員、石川教授、阿久根准教授及び研究協力者の沖山氏が中心となり研究会を組織し、現地調査の成果や被災地域の地域データベース作成やSCGEモデルの構築やシミュレーション結果について相互に意見交換を行いながら研究を進めることができた。現地調査の成果を踏まえて、多地域間産業連関表や多地域間CGEモデルやマクロCGEモデルを構築し、東日本大震災の発生により、多大な負の供給ショックが生じること、それからの復興・地域再生に産業クラスターの形成が寄与することをシミュレーション分析により解明でき、これらの究成果は、PRSCO(環太平洋地域科学研究機構年次大会)や日本地域学会や日本農業経済学会などで報告を行い、高い評価を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成25年度に得られた結果を基にして、総括の徳永と研究分担者の阿久根准教授と各務准教授が中心となり、引き続き我が国を対象とする空間パネル計量モデルの改善を図るとともに、徳永と研究分担者の氷鉋教授、石川教授、阿久根准教授、國光研究員、及び沖山氏が中心となりSCGEモデルの更なる改善と自然災害からの回復・地域再生の政策シミュレーション分析を行い、相互に意見交換を行いながら研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度にタイ・バンコクへの現地調査・資料収集を実施する予定であったが、バンコクが政治的不安定になり、バンコクにおけるタイ・日系企業からのヒヤリングを中止せざるを得なかった。さらに中国・オーストラリアなどから国際的に活躍している研究者を招聘して日本地域学会で特別セッションを開催する予定であったが、招聘者が体調を崩すなどの要因がかさなり、開催できず、その経費を、次年度(2014年度)に使用することになった。 2014年5・6月にタイ・バンコクへの現地調査・資料収集を実施する予定である。2014年度日本地域学会年次大会で中国・オーストラリアなどから国際的に活躍している研究者を招聘して特別セッションを開催する。
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