2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24330091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
乾 友彦 日本大学, 経済学部, 教授 (10328669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝澤 美帆 東洋大学, 経済学部, 准教授 (50509247)
氏家 清和 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (30401714)
枝村 一磨 文部科学省科学技術政策研究所, 第2研究グループ, 研究員 (20599930)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済政策 / 自然災害 / 間接被害 / 風評被害 |
Research Abstract |
乾は東日本大震災発災後おおむね1年を経過した時点において入手可能な情報を元に、大規模自然災害による直接被害の国際比較、阪神・淡路大震災と東日本大震災の直接被害推計の比較、東日本大震災発災後の公的統計に関する政府の対応を整理した後、間接被害に関して公的統計を使用して、様々な角度から定量的に被害と復興の過程を分析した。人口・雇用面をみると、被災地では震災以降若年層の流出により更なる高齢化が進んでいる。また、被災地では震災復旧関連等の求人の増加は見られるものの、雇用のミスマッチも生じている。製造業は震災の直接の被害からは脱しつつあるが、その後の回復では海外需要に不安がある。農漁業については、被害者の実人数が約4万7千人と試算でき、津波被災地域での営農再開農家は、岩手県で1割、宮城県で2割であるなど、復旧に時間を要している。原発事故に伴う風評被害の影響が主要な福島県産青果物の価格形成において確認された。 乾は2008年度から2010年度までに卒業した20代の若者を対象にしたアンケート調査のデータを用いた実証分析から、震災直後に就職した2010年度の新卒者の賃金が、それ以前に就職した同程度の能力の若者よりも有意に低いことが明らかになった。 氏家は放射性物質による農産物汚染について一般消費者を対象とした表明選好調査をおこない,消費者評価を分析し,健康リスク評価と産地評価の挙動が異なることを指摘した。また,コメの購入履歴データを分析し,原発周辺地域産コメに対する購入行動が,消費者の居住地で異なっていることを明らかにした。 滝澤は、経済産業研究所の労働市場制度改革プロジェクトに参加し、労働市場に関する研究の知見を深めた。 枝村は、経済産業省による生産動態調査の個票データを事業所単位で整理し、パネル化した。月レベル、事業所レベルの詳細な生産に関するデータの整理は世界でも初の試みとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生産に与えた間接被害に関しては、生産動態統計のパネル化が終了し予備的な分析結果を環境経済・政策学会にて報告した。労働市場に与えた影響に関してもアンケート調査結果を使用して分析した。また風評被害に関する分析も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
生産動態統計と、他の統計をマッチングしてプロベンシティ・マッチングの手法等を利用して分析を進める。今後は経済産業研究所と協力して分析を行い、エネルギー需要に与える影響についても考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「就業活動基本調査」の個票申請を総務省に対して行い、震災の労働市場に与えた影響について分析する。風評被害の影響についても、構造推計の手法を導入して分析する。
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