2012 Fiscal Year Annual Research Report
学際的アプローチによる医療・介護サービスの利用・機能に関する制度横断的分析
Project/Area Number |
24330097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第1室長 (70360716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
山田 篤裕 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (10348857)
菊池 潤 国立社会保障人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第4室長 (30506481)
黒田 有志弥 国立社会保障人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 研究員 (70582724)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療 / 介護 / 学際的アプローチ / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、医療・介護サービスの利用状況と、それらのサービスが果たしている人の健康維持・障害からの解放という機能のうち、(1)貧困と健康・障害の関係、(2)医療・介護サービス利用の相互関係、(3)個人の長期的な医療サービス利用行動、(4)サービスの未利用者の真のニーズの実態解明、について、これまで明らかにされていなかった新規の知見を得ることを目的とするものである。 本年度は研究の初年度として分析に使用するマイクロデータ等の収集作業を中心とした。2市からレセプトデータ等の提供を受け、サービス未利用者を含めた医療・介護サービス利用に関する住民調査を1市において実施し、回収数503通(回収率62.9%)を得た。また、厚生労働省統計情報部にデータ利用の申請を実施し、利用の承認を得た。 今年度得られた成果は次の通り。国民健康保険制度加入者について、1)所得水準と資格異動(加入者の制度間異動)が医療機関への受診確率・医療費に与える効果を推定した。また、2)短期証・資格証明書の交付を受けることが医療サービスの利用に統計的に有意な影響を与えるわけでなく、それ以前の保険料が未納である段階で既に受診率が低下している可能性を示した。医療保険財政について、3)乳幼児医療費助成制度により国庫負担が財政的に豊かな自治体へ流れている可能性、4)健康リスクが組合内で平準化できない小規模の健康保険組合を除くと保険料の事業主負担の大半が賃金に転嫁されている可能性、5)国民健康保険者が、保険料引き上げと基金取り崩しという形で財政運営を行う群と前年度繰上充用を繰り返す群に分けられる可能性、がそれぞれ示された。 得られた成果の一部については、2013年1月にPrinceton大学からJanet Currie教授を招へいし、国内の医療経済学の研究者の参加を得た研究会で報告され、他の報告と共に議論する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の知見を得るためには、既存のものではなく、新しくマイクロデータを設計し、入手する必要があるが、予定していたデータは昨年度においてほぼ入手しており、分析作業を進めているところである。外国人の招へいも含めた成果の公表も予定通り進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
自治体で実施しているアンケート調査については、自治体や協力団体へのフィードバックを丁寧に行い、引き続き高い回答率が維持できるようにする。他方、高回答率により謝礼費の負担が大きくなっているため、海外学会での報告旅費で節約を図るほか、海外研究者招へいについては別途招へい資金を獲得することを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担研究者が北海道内でインタビュー調査を実施する際に、インフルエンザ罹患により実施がずれ込んだために当該助成金が生じた。同調査は今年度上半期に実施される予定となっており、今年度の本来の研究実施に影響を及ぼすものではないため、研究班全体としては当初の予定通り本年度の研究を実施することとしている。
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Research Products
(5 results)