2013 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代における国際通貨・金融システムとOECD
Project/Area Number |
24330111
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
矢後 和彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30242134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 良夫 成城大学, 経済学部, 教授 (40101620)
伊藤 正直 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (70107499)
西川 輝 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (30622633)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済史 / OECD / 国際通貨体制 / ブレトンウッズ体制 / 国際金融 / 世界銀行 / IMF / 国際金融機関 |
Research Abstract |
本研究は1970年代の経済協力開発機構(OECD)における政策協議を分析することをつうじて、当該期の国際通貨・金融システムの再編過程を検証することを目的とする。この目的達成に向けて、2013年度においては追加的な資料収集、収集した資料の分析および中間的な総括に着手し、研究期間中の成果とりまとめを行なった。とりわけ当該年度中に以下2つの全国規模の学会で国際的なシンポジウムを開催したことは極めて有意義であり、本研究課題の進展にとって多大な寄与をなした。 (1)日本金融学会(5月25-26日、一橋大学)パネル:「国際通貨システムの規制と改革――1960-70年代のOECD-WP3を中心に――」。パネルでは研究代表者・矢後が座長となり、研究分担者・西川が「国際通貨システムの転換とWP3」について報告を行った。このほか海外からC.Schenk氏(グラスゴー大学)、C.E.Altamura氏(ジュネーブ大学)、O.Feiertag氏(ルーアン大学)、F. Galeazzi氏(ルーアン大学)を招請してパネルディスカッションを行った。(2)社会経済史学会(6月1-2日、東京大学)パネル:「戦後経済史のなかのOECD」。パネルでは矢後が組織者・司会者をつとめ、西川が報告を行った。海外からY.Decorzant氏(ジュネーブ大学)、A.Heiniger氏(ジュネーブ大学)、M.Schmeltzer氏(ヴィアドリナ・ヨーロッパ大学)、E.Mourlon-Druol氏(グラスゴー大学)を招請してパネルディスカッションを行った。 本年度に着手した中間的な研究総括に際しては、OECDと他の国際機関(IMF、世銀、BIS等)との関係に注目した。とりわけ世銀については、2013年7月に政治経済学・経済史学会中京部会で研究代表者・矢後および研究分担者・浅井が報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際的なシンポジウムの開催を通じて、当初予定よりも早く中間的な総括を行うことができた。研究の主要な対象としてのOECDについて基礎的なデータ・資料収集は終了している。文献サーベイもほぼ終了し、その成果は研究代表者・分担者ともども内外に発信しつつある。OECDの意思決定の特質、加盟諸国からみたOECDの政策の特質、金融市場・銀行行動との関連、といった主要な論点が出揃い、研究の最終年度に向けた展開を待つ水準に到達した。 「研究の目的」のなかで言及した「現在のグローバリゼーションの重要な契機をなした資本の自由化に焦点をあてて、わが国をはじめとする各国のマクロ経済政策および産業・金融政策への影響を解明する」という点についてもOECD第三作業部会(WP3)の議事録分析を進めるなかで中心的な論点が造形されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「OECDの三大目的」の最後の最重要項目たる「開発」に新たな焦点をあて、前年度に引き続き世界銀行との関連を調査する。具体的には、世界銀行の開発援助とOECDの資本自由化政策との有機的な関連を歴史的に解明する。その成果発信としては、研究代表者・矢後と研究分担者・浅井が中心となって政治経済学・経済史学会、日本金融学会歴史部会等の場でシンポジウムを開催する。 また本研究課題の総括に向けて、2015年8月に京都で開催される世界経済史会議大会においてセッション報告を行う(エントリー申請承諾済み)。このセッション報告では2013年に開催した国際シンポジウムの到達点を踏まえ、本年度における追加的な研究の進展を反映させ、国際的に成果発信を行う。本年度はその準備研究の最終段階となるため、海外の研究者とも緊密に連携し、研究課題の総括的発展に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた研究分担者3名のOECD本部(パリ)出張・資料調査が研究計画の一部変更のため2014年以降に延期されたため。 今年度は予定通り研究分担者3名のOECD本部出張・資料調査を行なう。すでに先方の資料担当者と連絡をとり、8月に現地を訪問する内約を得ている。
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Research Products
(9 results)