2014 Fiscal Year Annual Research Report
多領域フィールドワークにもとづくメンタルヘルスの知と実践の浸透に関する理論構築
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24330150
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
荻野 達史 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (00313916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 龍太郎 富山大学, 経済学部, 准教授 (00313586)
工藤 宏司 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (20295736)
中村 好孝 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (20458730)
川北 稔 愛知教育大学, その他の研究科, 准教授 (30397492)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療化 / メンタルヘルス / 精神医療 / 精神保健 / 専門家 / 半専門家 / フィールドワーク / 歴史的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最終年度であり3年間のフィールドワークと歴史的研究から理論構築に資する知見が一定の概念の形をとって輪郭を示すようになった。概括的にいえば、医療化が求められる社会的文脈は非常に複雑であり、かつ医療が担う役割、そして医療化がもたらす社会的帰結にも多くのパターンが見出せた。 (1)医療化の「推進主体」が多様であることは既に指摘されてきたが、我々のフィールドでも同様であった。学校教育や福祉領域では、教員やケースワーカーなどの「半専門家」、あるいは児童の親など「半当事者」の役割は見逃せない。ただし、日本の教育現場での観察によれば、北アメリカの教員のように医療化に積極的とは必ずしもいえず、むしろときに「脱医療化」(再道徳化)ともいうべき姿勢も見出された。また、精神科診療所や産業領域の観察に従えば、国家・行政が自ら対応を求められた問題について、精神医療・医師をいわば最後の部分で判断・対処すべき責任主体にしていくという側面も見られ(「対処・判断に関する帰責のスケープゴート」)、医師集団としては反発・困惑も見られることもあった。 (2)医療化論は社会的排除の機能を重く見ていたが、異なる歴史的経緯あるいは社会的機序も見出された。①学校外教育の領域では、医師が非医療的問題と見なしながらも、困難を抱えた人々を引き受ける適当な社会的場が他にないこともあり一旦は医療で引き受けつつ(「方便としての医療化」)、やがて医療外部の回復や支援の場を創出する役割も担ってきた(「医療化によるインキュベーション」)。②障碍児教育に関する議論を歴史的に検討すると、分離せず、かつ個別的な発達を保障しようとすれば、その配慮の内容を水路づける「識別の符帳」を提供する役割を医療が期待されるという構図がある。これは極めて包摂的な機能である。反面、そうした識別が結果として分離を促すという面も存在する。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)