2012 Fiscal Year Annual Research Report
パネル調査を軸にしたホームレス経験者への包摂的支援のあり方に関する研究
Project/Area Number |
24330179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山田 壮志郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90387449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 聖子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (80259366)
吉住 隆弘 中部大学, 人文学部, 准教授 (60535102)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 貧困 / 社会的排除 / ホームレス / 生活保護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ホームレス問題をめぐる今日的な課題(ホームレス状態から居宅生活に移行したものの再び野宿に戻る人がみられることや、時に貧困ビジネスと非難される無料低額宿泊所が増加していることなど)を視野に入れながら、ホームレス問題を社会的排除の視点から分析し、包摂的な支援システムのあり方を構想することである。本年度は、(1)ホームレス状態から居宅生活に移行した人々の生活実態に関する調査(4年間の追跡調査の1年目)、(2)無料低額宿泊所問題に関する実証研究の2つの事業に取り組んだ。 (1)の調査は10月~12月に実施し、ホームレス経験者337人から回答を得た(回答率42.1%)。なお、回答者の90.7%は生活保護受給者であった。調査によって、生活必需品の普及率が低く最低限の生活が物質的に満たされていないこと、サポート・ネットワークが乏しく50%以上の人が助けてくれる人がいないこと、精神的健康度が低くリスク群の比率が一般男性の約4倍に上ることなど興味深い結果が得られた。 生活保護のあり方への社会的関心が高まる中、本調査の結果は社会的意義が高いと考えプレスリリースを行ったところ、朝日新聞(2013年3月17日付愛知県版)、中日・新聞(同3月28日付愛知県版)、週刊福祉新聞(同4月8日付)で調査結果が報じられた。 また3月31日には公開研究会を開催し70名以上の参加を得た。公開研究会では調査結果を報告するとともにアドバイザリー・グループとして本研究事業に参画している連携研究者から次年度以降の調査の実施に関するコメントを得た。 (2)の研究に関しては、連携研究者とともに研究チームを作り4回の研究会を開催した。宿泊所問題に関する政府データの分析を行った。研究成果は次年度に発表する予定である。また、特徴的な施設6か所へのヒアリングも8月と12月に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホームレス状態からアパート生活に移行した人々の生活実態調査はほぼ計画通りに実施することができた。 無料低額宿泊所問題に関する実証研究も計画通りであった。ただし、当初計画していたホームレス経験者へのインタビュー調査は十分実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も当初予定していた計画に沿って研究事業を実施する。今年度十分取り組めなかったインタビュー調査については次年度に実施する。研究計画の変更は特にない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金については、平成25年3月31日に実施した公開研究会にかかる講師謝金として一部使用済みである。残額については、次年度の研究計画において、パネル調査実施にかかる業務委託費、研究会開催時の旅費、学会発表時の旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)