2013 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災被災地における支え合いコミュニティの生成と中間支援組織の役割
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24330180
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
児玉 善郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (80243327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70183580)
穂坂 光彦 日本福祉大学, 福祉経営学部, 教授 (10278319)
原田 正樹 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40287793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生活支援 / 地域支援 / 中間支援組織 / 復興複合期 |
Research Abstract |
東日本大震災発生から3年目の被災地の復興複合期における被災者の生活支援、地域支援の実態・課題とそれに対する中間支援組織が果たしている役割についての調査をもとに、以下の成果を得ることができた。 1.復興複合期における生活支援、地域支援の実態と課題 多くの被災者は仮設住宅での生活が継続する一方で、自力再建や災害公営住宅など復興住宅への移転が徐々にではあるが進みつつある。この仮設生活の継続と復興住宅への移行が共存する「復興複合期」においては、さまざまな課題を抱えた被災者が同じ地域内で生活している実態にある為、被災者の生活支援においては、とりわけ地域支援に重きを置くことが求められることを把握した。具体的には、宮城県女川町では、災害公営住宅の建設がすすみ、年度内には仮設住宅から一部の住民が移転する計画が進行している。仮設期において6つのエリアに配置した「こころとからだとくらしの支援拠点」を再編し、復興期における災害公営住宅に付設する拠点を、地域支援に活かしていく上での仕組みと運営のあり方が課題となっている。また、岩手県大槌町、釜石市においては、災害公営住宅の移行に向けて、生活支援員が地域支援に重点を置いて取り組む為の研修が開始されている。 2.中間支援組織が果たしている役割についての検討 宮城県サポートセンター支援事務所が、震災から3年を経て、被災者の生活支援にあたっている生活支援員やサポートセンタースタッフに対して、それぞれの地域で生じている新たな課題への対処方法等についてのスーパーバイズが有効に機能していることが把握できた。とくに、被災地外からの派遣等による支援ではなく、宮城県内の中間支援組織による継続的な支援であることが、生活支援員との間の信頼関係を構築する上で重要な要素であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宮城県女川町・石巻市、岩手県大槌町・釜石市、福島県浪江町における被災者支援、地域支援、住民支え合いについての調査を継続している。とくに、震災から3年目の復興複合期における被災地の新たな状況を踏まえ、災害公営住宅等の復興住宅への移行が進む段階での支援の状況と課題把握し、検討をすすめている。 中間支援組織の役割については、宮城県サポ-トセンター支援事務所の果たしている役割として、被災支町の生活支援員・サポートセンタースタッフが困難や不安に感じていることに対する支援が効果的に行われていることを把握している。また、岩手県においては、災害公営住宅への移行に向けた生活支援員による支援のあり方に関する研修事業について、後方支援のNPOが受託して実施しており、その成果と課題について把握している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、3カ年の研究の最終年度にあたることから、これまでの研究成果の取りまとめを行う。具体的には、震災発生から4年目に至るまでの時間経過における、生活支援員・サポートセンタースタッフによる被災者に対する生活支援・地域支援の成果と課題について、調査結果をとりまとめる。 中間支援組織の役割については、宮城県サポートセンター支援事務所やNPOなどによる後方支援が、有効に機能するために、後方支援に求められる機能、運営方法について取りまとめる。 取りまとめた内容をもとに、被災者支援に直接関わっている方や後方支援に関わっている方などを対象に検討会を行い、そこで出された意見や見解をもとに研究成果を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
岩手県大槌町 ・釜石市および福島県浪江町などの調査対象地域において、調査受け入れ側との調整の結果、当初予定していた調査訪問回数が下回った為に、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、最終年度に当たることから、早期に調査受け入れ側との調整をすすめ、これまで以上に量と質の充実した現地訪問調査を計画的に実施する。また、取りまとめた研究成果についての検討会も行い、被災地内外の有識者、関係者からのフィードバックを行うことでも、研究費の計画的な執行につなげる。
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Research Products
(4 results)