2013 Fiscal Year Annual Research Report
宗教性/スピリチュアリティと精神的健康の関連-苦難への対処に関する実証的研究-
Project/Area Number |
24330185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 公望 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (40507927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金児 曉嗣 相愛大学, 学長 (10047350)
河野 由美 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10320938)
西脇 良 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (70387736)
具志堅 伸隆 東亜大学, 人間科学部, 准教授 (10449910)
川島 大輔 中京大学, 心理学部, 准教授 (50455416)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宗教 / 宗教性 / スピリチュアリティ / 精神的健康 / 宗教的ケア |
Research Abstract |
宗教性/スピリチュアリティと精神的健康との関連について実証的に検討するために,本プロジェクトでは「質的研究班」「数量的研究班」に分かれて,それぞれ以下の活動を行った。 1.質的研究班 平成25年度には大きく次の研究を実施した。(1)神戸市長田区におけるロウソク法要を中心となって行ってきた僧侶へのインタビュー,当該地域において復興支援を行ってきた事務局の訪問と代表者へのインタビュー,そして1月17日の法要へのフィールドワークを行った。中間報告として,日本心理学会および仏教心理学会において発表を行った。(2)「宗教的ケア」の概念をめぐる往復書簡をメンバー間で行い,これまでメンバー間を二巡して書簡がやりとりされた。今後は書簡の内容をまとめていく方法について検討する予定である。(3)災害による喪失と宗教/スピリチュアリティの関連についての先行研究を対象にシステマティックレビューを実施した。 2.数量的研究班 数量的研究班では,質問紙調査(本調査)を実施した。調査にあたり,調査で使用する測定尺度および個人の属性を検討した。これら一連の検討作業を終えた後,平成25年11月~平成26年3月に本調査を実施した。 調査対象者は,特定の信仰を有しない日本人(一般成人,国公立大学の大学生,公立学校の高校生,中学生)および宗教教団,宗教系学校に関係する日本人(曹洞宗教師・檀信徒,立正佼成会教会長・会員,出雲大社教布教師・信徒,カトリック司祭修道者・修道女・信徒,プロテスタント教職・信徒,浄土真宗本願寺派僧侶,宗教系学校(カトリック,プロテスタント)の大学生,高校生,中学生)であり,およそ7000名の質問紙を回収した。 これら2つの班の活動により,日本における宗教性/スピリチュアリティと精神的健康との関連についての実態を明らかにし,これまで示されることがなかった研究成果を提供することができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質的研究班では,(1)神戸市長田区におけるロウソク法要の関係者へのインタビューおよびフィールドワーク,(2)「宗教的ケア」の概念をめぐる往復書簡での検討,(3)災害による喪失と宗教/スピリチュアリティの関連についての先行研究の概観・整理とほぼ予定した課題を達成することができた。 数量的研究班においても,特定の信仰を有しない日本人および宗教教団,宗教系学校に関係する日本人を対象に質問紙による大規模な実態調査を当初の予定通りに実施することができた。この調査では,年齢段階,調査フィールドと共に幅広い対象から質問紙を回収することができ,これまで明らかにすることができなかった側面についても新たな光を当てることができると考えている。 平成25年度における質的研究班,数量的研究班の研究成果により,研究目的にて我々が掲げた日本における宗教性/スピリチュアリティと精神的健康の実証的研究の礎を作るとの目的を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
質的研究班については,これまで行ってきたフィールドワークの最終調査として,ロウソク法要への参加者に半構造化インタビュー/分析を行う。加えて,震災による喪失と宗教/スピリチュアリティの関わりについての文献レビューマトリックスを完成させる。 数量的研究班については,平成25年度に実施した質問紙調査に基づき,分析,検討を行い,日本における宗教性/スピリチュアリティと精神的健康との関連について多角的に解明する。 分析,検討にあたっては,質的研究班,数量的研究班共に,研究対象,研究テーマごとにチームを編成し,それぞれの作業を分担しながら研究を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
数量的研究班による質問紙調査(本調査)を2014年3月最終週まで実施していたために,質問紙を回収するための宅配便の代金が足りなくならないように少し多めにその代金を割り当てていたため。 2014年4月以降に届く質問紙の宅配便の代金として使用する。
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Research Products
(15 results)