2015 Fiscal Year Annual Research Report
非社会性の改善による反社会的行動の抑制に関する研究
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24330257
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
滝 充 国立教育政策研究所, 生徒指導・進路指導研究センター, 総括研究官 (50163340)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会性 / 非社会性 / 反社会性 / 自己有用感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「児童生徒の反社会的行動に及ぼす非社会性要因の影響について」(平成21~23年度挑戦的萌芽研究)から得られた知見をより確かなものとするとともに、一般化可能な教育実践へと高めることを目的として行われている。 以前の3年間の研究の中で得られた知見とは、小学校6年生の社会性を高めるべく1年間にわたって小学校1年生に対する「お世話活動」に取り組ませると、その間の社会性が向上するのみならず、適切な小中連携が行われることとも相まって、中学校1年生時にもその水準が大きく下がることはなく、上の学年(そのような活動を行ってこなかった前年度やそれ以前の中学校1年生)が示してきた値を大きく上回る、という点であった。さらに特筆すべきは、取組を行った学年を中心に中学校における「問題行動」が激減し、暴力行為や喫煙はもちろんのこと、長期欠席者やいじめが減少したことであった。 本研究では、1年次目には、A中学校区において先行研究のデータの補填(小6→中2の3年分のデータに付け足す中3の調査)、2~5年次目には別のB・C二つの中学校区において小6→中3の追跡調査を実施する予定であった。しかし、2年次目から開始した二つの中学校区でトラブルが生じたため、3年次目から調査を開始したD・E二つの中学校区で小6→中2の追跡調査を行うことに計画を変更した。また、A中学校区でも、2年次目からの調査を引き続き行っている。 本研究(5年計画)の4年次目の課題は、3年次目から調査を開始することができたD・E二つの中学校区と当初のA中学校区において、従前と同様の調査を実施し、比較データを収集することである。そして、予定通りに、社会性変容調査を7月・12月・3月の3回にわたって実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた中学校区で、予定通りに2年次目からの調査は開始できたものの、3年次目に調査が中止になるという(管理職の異動により協力が得られなくなった)トラブルが生じた。しかしながら、代わりに新たに依頼した2中学校区において3年次目・4年次目と調査を行うことができ、データの補填はやや不十分ながら可能になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、今年度で研究を完了する。 元々はA中学校区の中3に対する調査を1年目に、2~5年目はB・C中学校区の調査を予定していた。 しかし、いくつかの学校で協力が中断するといったトラブルが生じ、2年目から今年までの4年間で得られるデータは、(1)当初予定のA中学校区の中3、(2)当初予定とは別のD・E中学校区の小6→中2、(3)当初予定になかったD・E中学校区の小6→中1、(4)当初予定になかったA中学校区の小6→中3、というやや変則的なものとなる。 A中学校区の結果を他中学校区のデータで補完するという点では、やや不完全な形にはなるものの、A中学校区の新たな教職員による取組との比較が加わることによって、別な形の検証が期待できる。 今後は、最終年度としてデータ収集と分析を完了させる予定である。また、オーストラリアに依頼した類似調査の結果との突き合わせについても、行っていく予定である。
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