2012 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児が苦手とする文および文章の読みにおける方略の個人差に関する研究
Project/Area Number |
24330259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
澤 隆史 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80272623)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 聴覚障害児 / 眼球運動 / 視線解析 / 文の理解 / 構文 |
Research Abstract |
本研究は、眼球運動の測定等による読み活動中の認知的処理の分析を通じて、聴覚障害児の読みにおける方略の特徴や個人差の要因を明らかにすることを目的としている。本年度は、実験用課題の作成およびアイトラッキングシステムによる予備実験を行い、児童を対象とした場合の眼球運動測定による研究実施上の問題点等を検討した。課題で使用する文として能動文と受動文を取り上げて、動画を用いた文理解課題を試作し健聴児を対象に実施した。その結果、視線の停留や移動のプロセスに、構文の違いによる理解プロセスの差異が反映されること、一方で児童を対象とした場合、動画の視認やキー押し反応に伴う視線解析の精度が低下することが示唆された。この結果を受け、新たに絵画選択による文理解課題を作成し、大学生15名を対象とした予備調査を行った。新たな課題では、構文、語順、意味的蓋然性を要因とした130程の文を材料とし、文の読み速度、解答までの反応時間、課題実施中の視線解析を行った。24年度末までに行った結果の分析から、構文等の要因が反応時間に強く影響すること、視線解析から課題遂行時に用いる方略における個人差が大きいことなどが示唆された。また絵画を利用したことにより視線解析が安定して行いやすくなり、児童を対象とした実験方法として有効であることが示唆された。以上の実験研究に平行して、文章課題の作成に向けての課題の検討および課題に使用する語彙選定のために聴覚障害児の使用語彙の分析を行った。文章課題の作成については、アイトラッキングシステムで測定できる文章長や提示方法についての検討が必要であり、次年度に継続して検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的検討の結果、研究に使用する課題を修正する必要が生じた。そのため、新たな課題による大学生を対象とした予備的検討によるデータ分析の一部が未完了であるが、平成25年度の研究実施に向けておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成25年度年度は特別支援学校での研究を実施するとともに、24年度に行った研究成果をまとめ学会等にて発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備的検討の準備に若干の時間を要したため、データ分析に係る実験補助者の雇用に遅れが生じた。24年度の繰り越し分は、主に次年度の実験補助者の人件費にあてる予定である。
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