2013 Fiscal Year Annual Research Report
小型衛星搭載用ガンマ線バースト偏光度検出器のプロトタイプ開発
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24340033
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
郡司 修一 山形大学, 理学部, 教授 (70241685)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / 輻射メカニズム / 偏光 |
Research Abstract |
ガンマ線バーストのエネルギー輻射メカニズムの詳細は不明のままである。研究代表者は、エネルギー輻射メカニズムを明らかにするには、偏光の観測が大切だと考え、GAPという超小型のガンマ線バースト偏光度検出器の開発を行った。そこでこの実績を基に、さらに高性能の検出器の開発を本研究費で進めている。検出器はコンプトン散乱の異方性を利用した検出器であり、散乱体であるプラスチックシンチレーターと吸収体である無機シンチレーターでできている。検出器の性能を上げるには、プラスチックシンチレーター+MAPMTでできるだけ低エネルギーデポジットを捕まえる事が重要だが、我々は2keVのエネルギーデポジットを80%の検出効率で捕らえる事に成功した。また吸収体シンチレーターの選定を行うために、放射線医学総合研究所で放射化の実験を行ったところ、GAGGシンチレーターがバックグランドも低く最適である事が分かった。そこでGAGGにAPDを取り付けて22keVを照射して読み出したところ、常温でも22keVがノイズと分離できている事が分かった。また我々はさらにこれらの部品が振動で壊れないかを調べるため、振動試験を行った。振動はピークで6Gの加速度をかけて、X、Y、Zの3方向に数Hzから2kHzまで1時間程度かけて、振動を与えた。その結果、一番繊細な部品であるMAPMTは振動後も正常に動いている事を確認した。この6Gという振動レベルはスペースステーションに打ち上げる際の振動レベルであり、またPegasusロケットの振動レベルでもある。そのため、スペースステーション様の実験若しくはPegasusロケットで打ち上げるような小型衛星実験で我々の検出器を搭載できる事が分かった。今後はパイロ衝撃試験を行っていく事になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通りに実験が進んでいれば、平成25年度末に検出器部分の組み上げが終わっていた事になる。しかしながら、検出器部品は全て購入しテストを行ったが、現在まだ組み立てが終わっていない。その大きな理由は、検出器の耐震化である。現在部品単位の振動試験はパスしたが、検出器を組み上げた場合には、検出器全体の振動や共振を考える必要がある。我々が思った以上に振動によって検出器が破損してしまう事態が生じたため、現在その対策を行っている所である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに基礎的な振動試験がほぼ終わったため、現在パイロ衝撃試験と組み上げた状態での振動試験を行おうとしている。この試験が終われば検出器を組み立てることができる。また今年度は検出器からの読み出し回路を開発する予定であり、年度末に検出器+回路系を偏光ビームラインに持っていって、ビーム実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は主に検出器の製作と回路の開発の2つに分かれる。当初予定では回路開発に関しても平成25年に一部行う予定であったが、これを平成26年度に行う事にしたため、次年度使用額が発生した。 今年度は、繰り越した予算を使って回路開発を行う予定である。
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Research Products
(5 results)