2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタノールメーザー源の大規模モニタリングサーベイによる大質量星形成機構の解明
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24340034
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
米倉 覚則 茨城大学, 宇宙科学教育研究センター, 准教授 (90305665)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電波天文学 / メタノールメーザー / VLBI / 大質量星形成 / 時間変動 |
Research Abstract |
本研究では、超高空間分解能を達成できる超長基線電波干渉計 (VLBI) を用いて、形成途上の大質量星の周囲のガスの運動を直接検出する事により、大質量星の形成機構を解明する。具体的には、質量が太陽の8倍以上である「大質量星」が、太陽と同じ仕組みで形成されるのか(大降着説)、あるいは太陽とは全く異なった仕組みで形成されるのか(合体説)を、観測的に初めて明らかにし、大質量星形成過程に関する議論に終止符を打つ事を目的とする。平成25年度は下記の項目を実施した。 1.単一鏡によるモニター観測:視線速度および強度の時間変化を伴う天体の観測:前年度選定した384天体に対して、50日から100日程度の周期の速度および強度変動を捉える目的で、日立32メートル電波望遠鏡を用いて 6.7 GHz メタノールメーザーの継続的なモニター観測を行った。9日に1回程度の頻度の観測を、2012年12月から2014年1月まで継続した。1天体あたり5分の積分時間で、過去に同程度の口径の電波望遠鏡を用いて行われた観測における感度と同程度である 1 Jy を達成した。5天体程度において、50日から100日程度の周期の強度変動が検出された。 2. VLBI によるモニター観測:内部固有運動の導出:前年度に引き続き、メーザー源の空間分布および速度分布を明らかにする目的で、強度が強く比較的南天に位置する36天体に対して、日本の VLBI 網を用いた超高空間分解能観測を行った。各天体につき、3ないし4回目の観測である。1回目の観測結果を用いた解析結果を論文にまとめ、日本天文学会欧文研究報告に投稿し、受理された。3ないし4回の観測結果全てを用いた固有運動の導出については、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、単一鏡モニター観測を行い、50日から100日程度の変動周期を持つ天体を5天体程度検出する事ができた。また、VLBI 観測を実行し、1回目の観測結果を用いた解析結果を論文にまとめ、日本天文学会欧文研究報告に投稿し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、メタノールメーザー源の単一鏡モニター観測を継続し、視線速度もしくは強度の変動を示す天体を検出する。また、VLBI観測を実施する事により、固有運動を検出し、形成途上の大質量星の周囲に回転しながら降着する円盤が存在する事を観測的に明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2台のうち1台のアンテナが2013年11月に突然故障し、その後の観測を実行する事ができなくなった。これにともない、データ取得および解析を依頼する者への謝金支出額、およびデータ保存用ハードディスクの支出額が予定より少なくなったため、次年度使用額が生じた。 2013年度の故障したアンテナは、2014年4月に復旧予定である。これにともない、当初予定よりも、謝金、データ取得用パソコンおよびデータ保存用ハードディスクへの支出を増額する予定である。
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Research Products
(6 results)