2012 Fiscal Year Annual Research Report
スプリット有機分子触媒の創成および化学的シグナル増幅系への応用
Project/Area Number |
24350040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井原 敏博 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40253489)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 敏彦 鳥取大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10332868)
今堀 龍志 熊本大学, 大学院・先導機構, 助教 (90433515)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | スプリット有機分子触媒 / DNAコンジュゲート / シグナル増幅反応 / Michael付加 / Aldol反応 / プレートリーダー |
Research Abstract |
近年、様々な有機分子触媒が報告されている。本研究では、これら既存の有機分子触媒を手本とし、構造の規定された人工のDNA、あるいはペプチドを分子基体としたスプリット型の(バイナリーな)有機分子触媒を構築する。さらに、その触媒反応を"シグナル増幅系"とみなし、DNA、あるいはペプチド複合体の構造(すなわち触媒の構造=触媒活性)に影響を与える種々の化学的、あるいは物理的刺激に対する高感度センシングシステムへの応用を目指す。これは、水中において、自律的に構築される堅牢かつ汎用の触媒、あるいは酵素のde novo合成との見方もできる。 平成24年度は、有機触媒の構成要素となり得る様々な分子を修飾したDNAコンジュゲートのライブラリーを調製することができた。具体的には、プロリン、tren、EDTA、グアニジウム、スルホンアミド、カテコールを化学合成DNAの5'-または3'-末端に導入したコンジュゲートを合成した。これら分子が、反応場となるDNA複合体上で酸、または塩基としてはたらいて目的とするMichael付加、Aldol反応などを触媒することを期待している。これらの分子の組合せにより基礎的な検討を既に行ったが、現在までに想定している反応を触媒する有効な系を見つけるには至っていない。その中で幾つかの具体的な問題が浮上した。たとえば、基質が反応場である二本鎖DNAのギャップに結合するような工夫(インターカレーションなど)を施すと、反応効率を上げることが可能になるかもしれない。さらに、基質と反応させようとしていたアセトンの揮発性が問題になったので、より沸点の低いメチルエチルケトンなどを使用すると、より反応を追跡しやすいはずである。スプリット触媒の他の組合せの検討とともに系統的に条件を変化させプレートリーダーを用いて効率的に研究を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らの研究グループでは従来からDNAを化学合成し、そのDNA末端や骨格中に様々な化学反応を利用して多くの機能性分子を共有結合で導入したDNAコンジュゲートを合成している。スプリット触媒の候補となるDNAコンジュゲートライブラリーはこれらの技術をフル活用して効率よく合成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
反応を加速するためには基質の局所濃度を高めてやる必要があると考えられるため、DNAに濃縮される構造をもった基質を新たに合成し、それを用いて同様の網羅的手法により触媒の探索を行う。
|