2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化レドックスネットワークによる脳型デバイスの創成
Project/Area Number |
24360011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 卓也 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50229556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化還元 / ニューラルネットワーク / 自己組織化 / 確率共鳴 / 脳型デバイス |
Research Abstract |
本研究では、分子レドックスネットワークを用いた脳型デバイスの創成を目指している。これまでの研究で、確率共鳴現象が観測されたが、脳類似機能を実現するためには、和差演算機能が求められる。このような機能を導くために、ネットワーク中にヒステリシス特性を導入する必要がある。2012年度は金微粒子の導入によって、静電容量を導入することを試みたが、現在のところ、ヒステリシス特性は得られていない。そこで、酸化還元サイトを4つ含み、酸化時と還元時で電子の出し入れの順番が異なることがしられているシトクロムc3分子に着目した。本年度は、このシトクロムc3の単分子電気特性の計測を行った。 金表面上に形成したピリジンチオール自己組織化膜の上にシトクロムc3分子を吸着しした。伝導度は、ピリジンチオール自己組織化膜で修飾した金コートカンチレバーを用いて伝導性原子間力顕微鏡により計測を行った。負荷力が20nN以下では、電流は得られなかったが、負荷力50nNでは安定な電流-電圧特性を得ることができた。ゼロバイアスではコンダクタンスを持たず、およそ±1.5V程度から立ち上がりを示した。しかし、電流-電圧特性は正負対称で、かつヒステリシス現象は見つかっていない。負荷力80nN以上では、電流は著しく減少するが、ゼロバイアスでコンダクタンスが現れる。このことから、高い付加力下では、シトクロムc3の構造が壊れてしまって、タンパク質内の酸化還元中心が機能しなくなるり、基板-探針間の直接トンネリングが始まっていると考えらえる。 以上の結果から、シトクロムc3の酸化還元中心は二重トンネリングの中継点として働いていると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
和差機能の発現がまだ実現していない。さらに物質探索的な研究を積み上げる必要がある。また、昨年度は研究室立ち上げ2年目で、まだ、研究活動は定常状態に入っていないという環境要因もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、シトクロムc3分子によるヒステリシス特性の発現について検討していくが、巨大ポリオキシレートなど、酸化還元に対して安定で、興味深い性質を示す分子系の探索を続けていく。
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