2013 Fiscal Year Annual Research Report
頑健な繊維補強セメント系複合材料の実用化のための施工から構造性能までの統合評価
Project/Area Number |
24360167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長井 宏平 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (00451790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 知加子 法政大学, デザイン工学部, 准教授 (60613495)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セメント系複合材料 / 繊維補強 / 多軸応力 / 頑健材料 / 数値解析 |
Research Abstract |
鋼繊維を混入したHPFRCC(ひずみ硬化型セメント複合材料)は総繊維量が多く施工性能やコスト面に問題があること,また粗骨材を混入したHPFRCCはひび割れ分散性能が低下してしまうなどの課題があり,それらの弱点を克服すべく,HPFRCCに元々含まれている合成繊維を鋼繊維で置換する事で総繊維量を一定とした材料と,粗骨材混入によるひび割れ分散性低下を鋼繊維で補うよう設計された鋼繊維および粗骨材入りHPFRCCについて,主応力軸回転下のせん断性能を材料試験によって検証した。また,鋼繊維を混入した粗骨材入りの一部の材料について構造試験においても主応力軸回転下のせん断性能の検証を行い,同時に改良を加えた画像解析手法を実施して面的ひずみ分布と局所のひび割れ挙動の考察を行った。 合成繊維と鋼繊維の合計繊維量を固定した材料では,これまでの知見から鋼繊維の増加によってひび割れ分散性が向上することが予想されたが,結果としてはひび割れ分散性の低下が確認され,この結果に対する考察を加えた。一方,主応力軸回転下でのせん断性能を見ると,鋼繊維が多い材料の方が損傷による剛性や耐力の低下が抑制され,より良いせん断性能を示すことが確認された。 また鋼繊維を混入した粗骨材入りHPFRCCでは,適量の合成繊維および鋼繊維量であれば粗骨材が存在することによるひび割れ分散性の低下が抑制されたが,合成繊維量を減らし,鋼繊維量をより増やした材料では,ひび割れ分散性能の低下が確認された。一方,主応力軸回転下のせん断性能については,粗骨材が存在することによる高いひび割れ方向制御性能が見られた。これらの結果から,粗骨材により効果的にせん断性能を向上させつつ,鋼繊維によってひび割れ分散性を保持できる可能性を示した。 多方向配筋時における定着性能については,数値解析システムの整備を進め大規模解析に対応するものへと拡張が概ね整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頑健材料の開発を,その力学挙動の材料レベルでの検証と構造特性の確認の両面から進めており,研究の実施速度は順調である。当初期待していた頑健性が今年度の実験からは得られていないが,実験を通して複合材料の力学相互作用の理解は深まっており,全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに進める予定である。
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Research Products
(2 results)