2012 Fiscal Year Annual Research Report
高靱性コンクリートを用いた局所破壊型ならびに高弾性変形型衝撃吸収部材の開発
Project/Area Number |
24360170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
六郷 恵哲 岐阜大学, 工学部, 教授 (40127155)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンクリート / 繊維補強 / 高靱性 / 破壊 / 衝撃吸収 |
Research Abstract |
本研究においては,コンクリートの適用の可能性を拡げることを目的として,高靱性コンクリート(HPFRCC)の特徴を活かして,衝撃作用を受ける部材等にHPFRCCを利用する方法を提案する。 大型橋梁の桁端部用の衝撃吸収部材について,桁が橋台へ衝突する際に,衝撃吸収部材のみが局所破壊して,部材を背後の橋台胸壁部に損傷を与えない条件を,衝撃実験により明らかにした。橋梁の胸壁耐力を考慮し,ブロックの設置位置を決定することで,橋梁の安全性を確保できることを示した。 衝撃吸収部材としての利用を想定した薄肉部材をHPFRCCおよび普通コンクリート(NC)により作製し,静的ならびに衝撃破壊性状について検討した。HPFRCCはり供試体では,鉄筋を併用することで,NC供試体と比較して,薄い断面でも,高い耐荷力および変形性能や復元性能が確認できた。HPFRCC板供試体では,繊維の架橋効果によりNC供試体よりも,衝撃試験後のひび割れ幅が抑制された。補強材や表面の凹凸加工との組み合わせにより,さらにひび割れ幅の抑制が可能であった。 HPFRCCと連続繊維(高強度ポリエチレン(PE))ロープを併用したRC棒部材のせん断補強方法を提案した。ロープ巻き付け後にロープにアクリル樹脂を塗付含浸させてコンクリート表面に固定し,HPFRCCなどを被糎材として用いることで,連続繊維ロープの有する耐力を十分に活用したせん断補強が可能であることを明らかにした。 製造コストの削減を目指して,セメントの半分を石灰石粉で置き換え,高強度PE繊維とともに中強度(引張強度と弾性係数が高強度PE繊維の2/3程度)PE繊維を用いてHPFRCCを作製した。いずれの条件でも,HPFRCCのひずみ硬化特性と複数微細ひび割れ特性を確認した。高強度PE繊維を用いたHPFRCCで,繊維混入率を1.5%から1.0%に減ずることが可能なことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画した研究の大部分を行うことができた。さらに,研究課題の範囲で新たな研究も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究において,コンクリート部材を落下させた際の耐衝撃性能を向上させるには,部材の靱性を高めるだけでなく部材の質量を小さくすることが有効なことがわかったので,次年度以降の研究には,発泡スチロール粒子を混入したHPFRCCに鉄筋を配置するなどの方法により作製した「軽量型衝撃吸収部材」も研究対象に加える。
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