2013 Fiscal Year Annual Research Report
データベースを活用したコンクリート構造物のひび割れ抑制システムの高度化と展開
Project/Area Number |
24360173
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
田村 隆弘 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 教授 (60171899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 暁 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (50374153)
岩城 一郎 日本大学, 工学部, 教授 (20282113)
阿波 稔 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10295959)
岸 利治 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90251339)
中村 秀明 山口大学, 理工学研究科, 教授 (20207905)
半井 健一郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359656)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ひび割れ / データベース / 表層品質 / ひび割れ対策 / ひび割れ解析 / 目視評価 / 養生 / 維持管理 |
Research Abstract |
徳山高専の田村は, 山口県のコンクリート構造物の温度ひび割れについて実構造物の温度とひび割れを計測し,数値シミュレーション解析の結果と比較した。また,養生方法の違いによるコンクリート部材の収縮量の変化を調査した。 八戸工大の阿波は, 凍結融解作用と凍結防止剤の影響を同時に受ける実構造物に表面含浸材を適用し,その効果を検証するためのモニタンリングを開始しまた。また,青森県内で過去4年以内に建設されたコンクリート構造物を対象に表層品質を評価した。 横浜国大の細田は, 東北復興道路におけるコンクリート構造物の品質確保を実践し,新設構造物の品質確保のために,目視評価法と,施工状況把握チェックシートを活用するシステムを始動した。田老第六トンネルにおいて,目視評価法,表面吸水試験などを用いて品質を検証した。 また, 山口大学の中村は,現場で簡易に活用できるひび割れ解析手法として,従来の簡易計算法であるCP法の機能向上や精度向上を図るとともに,数値計算によらない新たな簡易計算手法として,知識情報処理技術(Neural Network等)を活用したひび割れ予測手法の開発を行った。 一方で, 日本大学の岩城は,東日本大震災後の緊急点検データによる東北地方および福島県内の橋梁被害と,地震動特性や地盤条件との関係性を評価した。さらに,昨年度に引き続き山形県温海地区において架替え後15年が経過した橋梁の健全度評価を行い,今後の維持管理について提言した。 そして, 広島大学の半井は,ひび割れ抑制システムの全国展開の取組として,群馬県内で建設された橋梁の表層品質の評価を行った。また,産官学の関係者を対象とした講習会を実施し,群馬県でのシステム導入計画を取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,各担当者がそれぞれの研究計画をほぼ予定通り遂行してきた。山口県のコンクリート構造物の温度ひび割れについては,データベースを活用した研究から実構造物を利用した温度とひび割れに関する調査を予定通り行ってきた。ひび割れに関する数値シミュレーション解析の研究も急速に進んだ。 東北地方で問題となる凍結融解作用と凍結防止剤の影響を受ける構造物の品質確保のための研究も予定通り成果を挙げている。その成果は,東北復興道路におけるコンクリート構造物の品質確保に実践につながり,国土交通省東北地方整備局の協力も得て,田老第六トンネルにおいてその品質の検証実験を実施するに至っている。 また,現場で簡易に活用できるひび割れ解析手法の研究も進んでいる。従来の簡易計算法であるCP法の機能向上や精度向上を図るとともに,数値計算によらない新たな簡易計算手法として,知識情報処理技術(Neural Network等)を活用したひび割れ予測手法の開発で成果が出ている。 維持管理におけるデータベースの活用も,東日本大震災後の緊急点検データを活用して地震動特性や地盤条件との関係性を評価するなど,成果を出している。 本研究の最終目標であるひび割れ抑制システムの全国展開の取組についても,群馬県や横浜市などで研修会が催されるなどしている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,研究の最終年度として,各担当者がそれぞれの研究を取りまとめると同時に,本研究で得られた成果を全国各地で広く発表し,新設コンクリート構造物の品質を確保するためのシステムの普及を目指す。 山口県でスタートしたコンクリート構造物のひび割れ抑制システムは,本年度,コンクリート構造物の品質確保ガイドとして,さらに高度化したシステムの普及を目指している。これにより,ほとんどの温度ひび割れについては,無害なものにコントロールすることが可能になってきた。そこには,本研究の成果も大いに盛り込まれており,最近では,この仕組みを東北地方の凍害問題へ応用する研究が始まっている。 データベースは,精度の高いデータが増えるほど,より精度の高い対策に向けて活用することが出来る。次年度も,蓄積されたデータを活用し,ひび割れ対策や品質確保のための研究を進めると供に,最終年度である次年度は,こうしたこれまでの研究成果を活かして,東北の復興道路の品質確保や,全国のそれぞれの地域での課題や特性に合わせたコンクリート構造物の品質確保に向けた取組を推進するための活動を行う。
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Research Products
(11 results)