2012 Fiscal Year Annual Research Report
大都市圏で想定される広帯域強震動と超高層建築の減災対策
Project/Area Number |
24360231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
久田 嘉章 工学院大学, 建築学部, 教授 (70218709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川辺 秀憲 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (00346066)
永野 正行 東京理科大学, 理工学部, 教授 (60416865)
吉村 智昭 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20374043)
山下 哲郎 工学院大学, 准教授 (80458992)
西川 豊宏 工学院大学, 准教授 (80594069)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大都市圏 / 広帯域強震動 / 超高層建築 / 減災対策 / 2011年東日本大震災 / 2011年東北地方太平洋沖地震 / 大変位振動台実験 / 即時被害推定 |
Research Abstract |
平成24年度は、超高層建築の林立する首都・大阪・名古屋圏を対象として南海トラフ巨大地震や首都直下地震による広帯域な強震動予測を行うための高精度な3次元地盤モデルを構築した。さらに巨大地震の震源モデルの構築するため、2011年東北地方太平洋沖地震の本震に関する強震動生成のための震源モデルを構築し、震源域から関東平野に至る領域で3次元有限差分法による長周期地震動のシミュレーション計算を行い、観測された強震記録に見られ他非常に長い継続時間や地域によって変化する包絡形状を再現できることを確認した。さらに平成25年度に実施を予定している2004年紀伊半島沖地震(M7.4、深さ44km)などを対象とした高精度な広帯域強震動予測のためのベンチマークテストの資料整理を行った。 一方、現実の超高層建築として、工学院大学新宿校舎(29階鉄骨造)を対象に、弾塑性3次元立体フレーム構造の応答解析を行い、東北地方太平洋沖地震をはじめ様々な地震の揺れの再現を行った。特に今回の東北地方太平洋沖地震の本震ように振幅が大きいと建物の固有周期が明瞭に伸びと、比較的な小さな減衰定数を同定した。その際、床や柱・はり接合部の剛性に関する詳細な検討を行い、制震補強効果に関する動的応答解析による基礎的な検討を行った。 さらに大変位振動台を用いて、工学院大学新宿校舎の実大の室内空間の揺れを再現し、天井やスプリンクラーなど設備配管の応答性状を計測して、実被害との比較検討と効果的な補強法の検討を行った。最後に、超高層建築における物的・人的な被害推定法と、強震観測システムを用いた即時被害推定と安全性確認法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である大都市圏での強震動予測、超高層建築での応答特性の評価、大変位振動台による実大室内空間の振動実験による物的(構造・非構造・設備)・人的被害に軽減策に関する各項目について、満足すべき研究成果を得ている。7編の査読付き論文、6編の国際学会での発表を含む、多くの研究成果を公表しており、当初の目標はほぼ達成していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究で構築した震源・地盤モデル、および様々な強震動予測手法(差分法・有限要素法、理論的手法、統計的グリーン関数法)を用い、大都市圏での南海・駿河トラフ近傍、および首都直下の中小地震の観測地震波を対象とした広帯域地震動のシミュレーション解析により、モデル及び手法の精度検証を行う。まず長周期地震動用の3次元地盤モデルに関し、関東平野では地震調査研究推進本部の長周期地震動予測地図2012年度試作版モデルを、一方、濃尾平野と大阪平野では上部地殻以浅(1~14層)は2009年度版モデル、下部地殻以深(15層以深)は2012年度試作版を統合したモデルを使用する。2013年度では、主として南海トラフ近傍の中小地震として2004年紀伊半島沖地震を、首都直下の中小地震として2005年千葉県北西部地震を、それぞれ主たる対象として、様々な強震動予測手法を用いたベンチマークテストを行う。 さらに超高層建築の効果的な防災・減災対策に関しては、主として工学院大学新宿校舎(29階建・鉄骨造)を対象とした弾塑性地震応答解析を実施し、各階の応答加速度・速度・変位を求め、制震補強の有無による補強効果を検証する。さらに大変位振動台による実大被害実験を実施し、超高層建物の揺れと、天井材やスプリンクラー配管などの被害状況を計測し、効果的な補強法を検証する。さらに東北地方太平洋沖地震など過去の強震観測と被害、近年の国・自治体による地震被害想定に関する調査結果と併せて、超高層建物の簡易地震応答と人的・物的被害に関する推定式、および強震観測による即時被災度判定システムを構築と試験運用を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた大変位振動台による実大の室内空間の振動実験では、2011年東日本大震災における工学院大学新宿校舎におけるシステム天井板の落下の再現と、効果的な補強法の検討を行った。平成24年度の実験により満足すべき結果を得ており、このため再現実験の一部は次年度に持ち越して、より詳細な検討を加えることとなった。このため、696,990円の繰越金が生じた。平成25年はこの金額を含めて、大変位振動台による実大室内空間の振動実験による物的・人的被害に軽減策に関する研究に有効活用する予定である。同時に、首都・大阪・名古屋圏における広帯域強震動のベンチマークテストの実施、超高層建築での地震応答解析と効果的な制振補強法の検討を行う。
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Research Products
(42 results)
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[Journal Article] Benchmark Tests for Strong Ground Motion Prediction Methods using Numerical Methods2012
Author(s)
C.Yoshimura, M.Nagano, Y. Hisada, S.Aoi, A.Iwaki, T. Hayakawa, S.O.Citak, S. Matsushima, H.Kawabe, H. Uebayashi, Y. Onishi
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Journal Title
15th World Conference of Earthquake Engineering
Volume: (DVD)
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