2013 Fiscal Year Annual Research Report
三角屋根CB造住宅のストック価値再考と持続可能な居住システムに関する研究
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24360244
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
眞境名 達哉 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80333657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 尚弘 北海道科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80337013)
高倉 政寛 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (20462343)
片山 めぐみ 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (40433130)
鎌田 清子 北海道文教大学, 外国語学部, 教授 (90183277)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 寒地住宅 / コンクリートブロック |
Research Abstract |
<住まい方の研究>本年度は札幌市屯田団地を対象に、その建設動向・現存状況および建設時の空間タイプ、現在も住み続けている背景等について明らかにした。具体的には、北海道住宅供給公社所蔵の図面・パンフレット、各種図書等から、建設動向・現存状況および建設時の空間タイプの分析、現在も住み続けている居住者110世帯に住宅の増改築の状況、家族構成の変化、満足度等のアンケート調査を実施し、 持続居住の状況を分析した。 <先進事例調査>CB住宅ストック活用の先進事例を調べるために、活発な活用が見られる沖縄のCB住宅である外人住宅を調査対象とした。調査においては、浦添市港川地区の外人住宅を中心にその居住者に対しアンケートで利用の実態、改修などの費用などを問い、また不動産業者に対しては、外人住宅に関する不動産戦略などをヒアリングした。 <三角CB住宅の景観価値に関する研究>三角屋根の統一された幾何学形態による住宅地景観を評価するため、歩行において、目の前で刻々と変化する景色を動画で撮影し、同時に自身の感覚を記録することができるスマートフォンを用いた景観評価アプリを開発した。記録されたデータにより位置情報がマップに表示され、感覚(ワクワク感)の変化がグラフ化される。 <三角CB住宅の開発過程の調査>三角CB住宅の開発経緯に関して、北海道の住宅史全体から俯瞰する調査を行った。具体的には戦前における北海道の建築技術などの視点を取り入れ、三角CB住宅開発にいたる歴史的な背景を捉えた。 <現状適合性に関する調査>三角CB住宅の持続可能性を見るために、現状法規における適合性を住宅設計者らとともに、その問題点などの抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的は三角CB住宅の特徴を踏まえた持続可能性を捉えることであり、25年度までにその実態を捉えることを目指していた。その点で、屯田地区をはじめとする現況調査、および開発者のヒアリングを通して、開発過程の調査に関しては大旨順調に進んでいる。 当初計画との変更点では「C B 造住宅の現代性」に関する部分がある。これは平成26年度以降および本研究の最終目的である持続可能性にも関連する所であり、これらについては、当初に想定していた研究範囲を超えたテーマ設定で行っている。具体的には、住宅自体の評価ではなく、住宅地自体の評価を行う試みなどが当たる。 また、平成26年以降行う予定であった「先進的な不動産事業者の調査」に関しても、年度を前倒して調査に着手している。これも持続可能性に関して、大きく関わる項目である一方で、三角CB住宅の最終的な目標像を見つけることが容易でないためである。本年はその一つとして、同時期に建設され現在も活発な活用が見られる沖縄県の外人住宅に焦点を当てて調査を行い、三角CB住宅との違いなどを把握している。また平成25年には同時に住宅設計者らと共に、三角CB住宅の既存適応性についてまとめ、その検討会も行った。 以上、一部前倒しの部分を含みながら、研究自体は大旨順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
三角CB住宅の特徴を踏まえた持続可能性を捉えるため、当初計画では平成26年の研究計画として下記の3点を挙げた。 a)先進的な不動産事業者の調査、b)住宅の付加価値の情報発信と新しいユーザーの発掘、c)三角屋根住宅の具体的改修案の提案とその評価 持続可能性については、その向かうべき目標像が重要であり、その点に関してはaの作業は重要である。aに関しては、平成25年に先行して沖縄の外人住宅に関する調査を行ったが、今年度は研究対象を欧州の住宅地にまで広げ、不動産的な視点だけでなく、建築に関わる様々な制度などの把握も行うことを考えている。次にbに関しては、既存の三角CB住宅に囚われることなく、三角屋根という形態の特性に抽象化し、より自由な視点で調査を行うことを計画している。具体的には、昨年に続き三角CB住宅の住宅地の景観特性、太陽光パネル設置などの有効性、屋根による雪仕舞いの特性把握などである。 cに関しては、昨年度および以上を総合した上で、住宅設計者や行政担当者などの専門的な視点を踏まえた具体的な改修案の提案およびその現実性に関する検討を行う。例えば、現行法規のどの箇所が阻害しているか、またそれを越えうる手段について、超法規的視点にも言及しながらまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な原因は謝金の支出にある。 当初予定していた、三角CB住宅の住宅地における除排雪に関わる調査が準備不足のため謝金の支出が出来なかったためである。 本年度は、住宅地における除排雪の調査に関しては連絡を密に行い、十分な計画を立てて謝金の支出を行う。
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Research Products
(4 results)